イタリア・フィレンツェで開かれたメンズファッション最大の見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO以下、ピッティ)」と、スイス・ジュネーブで開かれた世界一ラグジュアリーな高級時計の見本市「S.I.H.H.(サロン・インターナショナル・オート・オルロジュリ、通称ジュネーブ・サロン)」の間に誕生日を迎えました。“誰かから”は見込みが薄かったので、自分で自分にプレゼントを買って日本を出発しました。どうせなら現地で使えるものをと選んだのは、フランスの靴ブランド「パラブーツ(PARABOOT)」のローファー、“ランスヴィゾン(REIMS VISON)”です。
靴好きとしては「150以上の工程からなるノルヴェイジャン・ウェルテッド製法による堅牢な作りが……」とか言いたくもなるのですが、なんといってもVISON(ヴィゾン)、つまりミンクファーを使ったルックスがかわいいんです!それでいて、はっ水性の高いリスレザーをボディーに使っており実用性もバッチリ。お値段8万4000円は、四十路男子の一年に1度のご褒美としては“ちょうどいい”感じなのかと。
履き口は深く、独特な角度で仕上げられているので、かかとの小さな日本人の足も抜けにくいんです。自社製造のラバーソールは肉厚でクッション性が高く、快適な歩行をアシストしてくれます。見た目としては、ここまで武骨なローファーって例がないんですが、意外と汎用性が高いんです。
その汎用性の高さを2カ国で検証してみました。まず「ピッティ」会場では、セルビッジジーンズとコーディネート。シンプルな黒のローファーだとおとなし過ぎですが、ミンクファーのおかげでどこかエレガントな雰囲気です。ジーンズとシューズとが太番手のステッチワークで呼応しているのもポイント。ちら見せした、スカジャンモチーフの靴下もキュートでしょ?
ジュネーブでは「S.I.H.H.」取材が終わって帰国までのほんの数十分、レマン湖畔を散歩しました。ヨーロッパ特有の石畳もなんのそのだし、グレンチェックのセンタークリース入りきれいめパンツとも好相性。“ランスヴィゾン”はジャケットや、ときにはスーツスタイルにだって溶け込めちゃうんです。レマン湖沿いには5つ星ホテルが軒を連ねますが、ドレスコードも軽々クリアです。
靴好きを公言する僕ですが、“ガラスの足”の持ち主でもあり、どんな靴にも好かれません(苦笑)。かかとが痛かったり、トウが痛かったり……。それでも、この“ランスヴィゾン”はまさしく“シンデレラ・フィット”!そんな幸運も重なり、とても充実した出張となったのでした。