マッシュホールディングス(HD)傘下のマッシュスタイルラボ(以下、マッシュSL)は2019年秋、アンダーウエアやTシャツ中心の新ブランド「アンダーソン アンダーソン(UNDERSON UNDERSON)」を立ち上げる。メンズ、ウィメンズ、ベビーのアパレルとホームケアグッズをそろえ、19年内に新宿地区の商業施設に1店出店。20年にもう1店の出店を予定する。
新ブランドの一番の特徴は素材だ。和紙繊維を手掛けるITOI生活文化研究所と組み、「肌に触れる部分は99.9%が和紙」(近藤広幸マッシュHD社長)という商品を開発した。和紙の持つ機能性を、洗練された大人の男女に向けて打ち出す。
これまで、「スナイデル(SNIDEL)」「フレイ アイディー(FRAY I.D)」など、トレンド性の高いウィメンズブランドで成長してきた同社にとって、機能性素材を切り口にしたブランド開発は新鮮だ。立ち上げ当初からメンズ、ウィメンズ複合なのも同社では珍しい。「毎年(アパレル、ビューティ、飲食を合わせて)2~3の新ブランドを立ち上げているが、19年はこの1つに集中する」と近藤社長は語り、自身がプロデューサーを務める。
立ち上げのきっかけは、ITOI生活研究所の糸井徹社長からのアプローチ。同社が特許を持つ和紙繊維「WASHI FABRIC」の消臭・抗菌などの機能性や、運動時にも摩擦熱が起こりにくいといった性質に近藤社長が着目し、独占パートナーシップ契約を締結した。
アパレルアイテムは、メンズ21型、ウィメンズ18型、ベビー6型。メンズ、ウィメンズでは、ボクサーショーツやブラトップ(各3000円前後)、Tシャツ(6000円前後)と共に、スエット上下や布帛パジャマ、靴下、靴のインソールなどをそろえる。ベビーはロンパースなど。ポリエステルを芯にして和紙をらせん状に巻いている糸を使っているため、伸縮性もある。
機能性を打ち出しつつも、ミニマルなデザインでスタイリッシュに仕上げた。メンズ、ウィメンズで全てパターンも変えているという。淡いスキンベージュやグレーなど、繊細なトーンの色使いも特徴。マイナスイオンを利用して植物性色素を吸着・染色することで、環境に配慮している。定番で6色を展開し、そこに毎シーズン2色を加える。定番の中には生成りの無染色もそろえ、“無添加”として打ち出す。“無添加”は食品やコスメでは見かけるが、アパレル分野での打ち出しはまだまだ珍しい。「感度の高い人ほど、今後求めていく要素になるのではないか」と分析する。
ホームケアグッズは、タオルや歯ブラシ、洗濯用洗剤など。洗剤は、マッシュHDが扱うニュージーランドのホームケアブランド「エコストア(ECOSTORE)」に別注する。
同社にとって新機軸のブランドだが、今後の改善点は生産面。素材生産は全てITOI生活文化研究所が行うが、古い紡績機しか和紙繊維に対応できず、現状紡績機は1台しかないという。増設に向けて動き、立ち上げからの3年間の累計で8億円の売り上げを目指す。
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