「ラコステ(LACOSTE)」は、新クリエイティブ・ディレクターのルイーズ・トロッター(Louise Trotter)による新体制でのコレクションを2019-20年秋冬パリ・ファッション・ウイークで披露した。創業者でフランスの伝説的なテニスプレーヤーだったルネ・ラコステ(Rene Lacoste)にオマージュを捧げ、ブランドの象徴的なポロシャツなどの定番アイテムをモダンに若々しく一新し、スタートを切った。
トロッターはフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)の後任の、女性イギリス人デザイナーだ。「ギャップ(GAP)」でマーチャンダイザーを経て、「H ヒルフィガー(H HILFIGER)」や「ジグソー(JIGSAW)」でクリエイティブ・ディレクターを歴任。直近9年間はオンワードホールディングスの「ジョゼフ(JOSEPH)」に在籍してクリエイティブ・ディレクターを務めた、コマーシャル商品のデザインに長けた人材だ。
「ラコステ」はスポーツにヘリテージを持つフランス生まれのブランドだ。一時期はニューヨーク・ファッション・ウイークでコレクションを発表していたこともあるなど世界的に知名度が高く、“フランス発”というイメージは強くないかもしれない。イギリス人のトロッターが手掛けることで、客観的に捉えた“フランチ・シック”を表現する。
トロッターのデビューコレクションのベースは、ルネが考案したポロシャツやポロドレス、テニスニットのほか、ルネ自身のエレガントな装いから着想を得たテーラードスタイルのミックス。ファーストルックのベージュのダブルブレストコートは“ルネ コート”と命名。テニスシューズに合わせて、クラシックなスタイルをモダンに提案する。
カラーパレットもブランドらしさが詰まっている。代表的な緑色“ラコステ ヴェール 132”をはじめ、テニスボールのようなイエロー、テニスウエアらしいホワイトなど、エネルギッシュでスポーティーな印象だ。アイコニックなワニは、キャッチーな総柄プリントのドレスや、巨大化して紐を垂らしてニットに施すなど、新たな姿になって登場した。
新生「ラコステ」は20〜30代のファッションコンシャスな若者が着用する姿も想像でき、幅広い年代に受けそうだ。前任のバティスタがデザインしてきた「ラコステ」のコレクションラインは日本の店頭ではほとんど販売されることがなかったが、トロッターによる最新コレクションは“売れそうな”アイテムも多いため、拡販を期待したい。