今や“SNS発”は珍しいことではないが、その中でもイギリス出身の歌手ハーヴィー(HRVY)は、現在最も注目を浴びている一人だろう。1月に20歳になったばかりのハーヴィーは、自身が14歳の時にフェイスブックにアップしたジャスティン・ティンバーレイク(Justin Timberlake)の楽曲「Mirrors」のカバーが話題になり一躍有名になった。17歳の時には、米アーティストのベイビーフェイス(Babyface)と英アーティストのジェス・グリン(Jess Glynne)とのチームでレコーディングを行い、音楽活動を本格化させた。現在までにリリースしているのはデジタルシングル4枚とEP2枚だけであるにもかかわらず、インスタグラムのフォロワーは400万以上を数えるなど、その端正なルックスと美しい歌声で若者を中心に人気を博している。
新曲の「Told You So」
15日には新曲「Told You So」もリリースし、まさに更なる活躍が期待されるミュージシャンだ。初来日のタイミングで、音楽に対する思いや好きなファッション、今後の目標について話を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):今回初来日ですが、感想は?
ハーヴィー:空港についた後ホテルに直行して、そのままここに来たから、何もしていないよ。今夜東京を満喫しようと思っている。渋谷の交差点には行ってみたいね。
WWD:イギリスのケント州出身ということですが、どんな場所で育った?同郷で尊敬する有名人はいる?
ハーヴィー: 郊外だけど田舎すぎない場所だよ。小さい町だけどいろんな場所へ行きやすい、いい環境で育ったんだ。今でもなるべく帰るようにしているけど、仕事での移動が多いからね。いつか自分の地元に家を建てて、ロンドンにはマンションを持てたらと思っているよ。でもケント州出身の有名人はすぐには思い浮かばないね(笑)。
WWD:ジャスティン・ティンバーレイクのカバーをフェイスブックにアップしたことがデビューのきっかけの一つになったと思いますが、もともと歌手になりたかった?
ハーヴィー:昔からの夢だったよ、自分にとって歌が唯一自慢できるものだったんだ。
WWD:ではジャスティン・ティンバーレイクが一番影響を受けたアーティスト?
ハーヴィー:確かにジャスティン・ティンバーレイクにはかなり影響を受けている。歌もダンスもうまくて、しかも演技ができる。自分もいつか彼みたいにマルチに活躍したいよ。あとは音楽史全体を変えたマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)かな。でも普段刺激を受けるのは、ショーン・メンデス(Shawn Mendes)やビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)、バージィ(Bazzi)みたいな自分と年齢の近いアーティストだよ。
18歳の時に発表した代表曲「Personal」。ユーチューブでの再生回数は2億回を超える
WWD:作曲はいつからしている?
ハーヴィー:13〜14歳の頃かな。今でも学ぶことは多いし、他のミュージシャンと一緒にセッションやレコーディングに入ると吸収することがたくさんあるよ。
WWD:どんな風に作曲する?
ハーヴィー:ほとんどのパターンはやり尽くされているから難しいよね……。場合によるけど、他のソングライターと共作することが多いかな。思いついたフレーズやシチュエーションをスマホに書き留めておいて、他のミュージシャンと一緒にスタジオに入ると誰かが面白いアイデアを出すから、それをもとに1曲作ってみようってなるんだ。「Personal」も、まず「Don’t take it personal」というフレーズがあって、それをキャッチーに仕上げていこうってなって出来上がったんだ。テーマは恋愛が多いかな。
WWD:今はスマートフォンを片手にライブを観ることが当たり前だけど、どう思う?
ハーヴィー:いいところと悪いところがあると思う。もちろん楽しい瞬間を撮っておきたい気持ちもわかるし、見返して思い出せるのもすごくいいこと。でもずっと撮りっぱなしだと、ライブ中も画面越しで、家に帰っても画面越しだから本当にライブを楽しんでいるのかなって感じるよ(笑)。生で体験するものが失われているんじゃないかなって。実は日本に来る飛行機の中でクイーン(Queen)の映画「ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)」を観たんだけど、ライブシーンで観客は純粋に観て歌って楽しんでいる。すごくいいなって思うけど、時代は変わるからね……。
WWD:ファッションも好きそうだが、今日着ているスエットはどこで買った?
ハーヴィー:イギリスのトップショップ(TOPSHOP)のビンテージコーナーで買ったんだ。
WWD:他にはどんなファッションが好き?
ハーヴィー:移動が多いから、着心地のいいトラックスーツやスエット、スニーカーが好き。「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」が大好きで、ローカットのスニーカーも履いてこようか迷ったんだ。あとは「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」も好きで、「グッチ(GUCCI)」のリュックも気に入っている。チープなものもハイエンドなものもとにかく試して、どう組み合わせるかが面白いと思うよ。
WWD:ライブでの衣装もあまり普段と変わらない印象だが。
ハーヴィー:確かに言われるね。でも大きいイベントやレッドカーペットがあればそれに合わせるよ。いつか大きい会場でライブができるようになったらいろいろな衣装を用意したいし、そのほうが観ている人も楽しめるからね。
WWD:ヘアスタイルへのこだわりはある?
ハーヴィー:本当はフサフサな髪がよかったんだけど。シャワー浴びた後はしっかり乾かして整えないといけないから大変だよ。毎朝寝癖も直さないといけないし苦労している。それに2週間くらい経つと、なんであの髪型で写真を撮ったんだと思うこともあるよ(笑)。
WWD:今ファッションブランドがアーティストとコラボすることが当たり前だけど、今後コラボしたいブランドはある?
ハーヴィー:たくさんあって「オフ-ホワイト」とは是非コラボしたいね。「グッチ」も大好きだけど、自分はあそこまで風変わりじゃないから。イギリスの「バーバリー(BURBERRY)」もクラシックでいいね。
あとはスニーカー!ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)やカニエ・ウェスト(Kanye West)と「アディダス(ADIDAS)」みたいに、スニーカーを手がけてみたい。絶対いいものを作れる自信があるよ。
WWD:20歳を迎えたばかりだが、今後の目標は?
ハーヴィー:僕の父は21歳の時、自力でポルシェ(PORSCHE)を買ったんだ。だから当面の目標は21歳の時に自分でポルシェを買えるようになること。父は若い頃から一生懸命働いて仕事に対するしっかりとした姿勢を持っているから、自分も音楽をちゃんとやらないといけないと教わったよ。あと、最近車の免許は取ったからね。