仏政府への激しい抗議行動が続く中、3月16日にパリのシャンゼリゼ通りでデモに便乗した暴動が発生し、高級レストランの「フーケ(FOUQUET’S)」が放火されたほか、「ロンシャン(LONGCHAMP)」「ザラ(ZARA)」「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」「スワロフスキー(SWAROVSKI)」などの店舗が破壊や略奪の被害にあった。フォーブル・サントノレ通りは当日朝から自衛策としてバリケードで封鎖され、通り沿いにある多くのラグジュアリーブランドは店を閉めていた。また地下鉄でも、シャンゼリゼ通り付近にある駅を含めて8つの駅が終日閉鎖された。現地メディアによれば、およそ80の店が破壊され、230人超が拘束されているという。
エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)仏首相は、「私は多くの国民と同様に激しい怒りを感じている。本日の出来事は、デモ隊ではなく略奪者や放火犯などの犯罪者によるものだ。どのような理由があれ、こうした暴力行為は正当化されない」とツイッターに投稿した。
ジャン・ノエル・ラインハルト(Jean-Noel Reinhardt)=シャンゼリゼ通り委員会会長は、「こうした暴動は、この通りで働く1万5000の人々や付近の住民、そして観光客のトラウマとなる。シャンゼリゼというフランスの歴史の一部である通りと、世界中の人々がフランスに対して抱いているイメージに重大なダメージを与えている」とコメントした。
エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は、抗議行動の終息を目指す施策の一環として、国民の意見を直接聞くための「国民大討論会(LE GRAND DEBAT NATIONAL)」を2カ月間にわたって実施していたが、今回のデモはそれが終了した翌日に発生した。これを受けて、ブリュノ・ル・メール(Bruno Le Maire)経済・財務大臣は、抗議行動の経済的な影響に関する緊急会議を18日に開く予定だ。