「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」を擁するPVHコープ(PVH CORP)の2019年1月期決算は、売上高が前期比8.3%増の96億5680万ドル(約1兆525億円)、純利益が同38.8%増の7億4460万ドル(約811億円)と増収増益だった。
ブランド別の売上高は、「トミー ヒルフィガー」が同11.5%増の43億4450万ドル(約4735億円)、「カルバン・クライン」は同7.7%増の37億3120万ドル(約4067億円)だった。いずれも主にヨーロッパとアジアでの売り上げが好調だったことによるが、「カルバン・クライン」は北米での「カルバン・クライン ジーンズ(CALVIN KLEIN JEANS)」の不調を受けて1ケタ台の成長にとどまった。
エマニュエル・キリコ(Emanuel Chirico)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「全体に非常によい結果を出すことができて満足している。特に『カルバン・クライン』は、ブランド再生策を迅速に実施したことが奏功して健全な業績となっており、回復への第一歩を踏み出すことができた。ここからは上昇の一途だろう」と語った。
チーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めていたラフ・シモンズ(Raf Simons)の退任後、「カルバン・クライン」はコレクション事業からの撤退やミラノオフィスの閉鎖、ニューヨーク旗艦店の閉鎖などを発表した。その一方で、歌手のショーン・メンデス(Shawn Mendes)を起用したアンダーウエアラインのキャンペーンを打つなど、“ラフ・シモンズ以前”のブランドイメージへと軌道修正を図っている。キリコ会長兼CEOは、「ショーンを起用したキャンペーンは、かつて当社の広告が巻き起こしていたような大きな反響を消費者から得ることができた」とコメントした。なお、一連のブランド再生策にはおよそ4100万ドル(約44億円)の費用を投じている。
キリコ会長兼CEOは、「カルバン・クライン」のライセンス事業を行っているG-IIIアパレルグループ(G-III APPAREL GROUP)に、北米におけるウィメンズジーンズのライセンスを売却するべく交渉していることを認めたが、当面はこれ以上の再生策は行わないと述べた。
決算発表の結果を好感し、PVHの株価は時間外取引で121.65ドル(約1万3259円)をつけるなど、一時は前日比10%近くの値上がりとなった。