ライトオンは、上半期(2018年9月~19年2月期)が4億1900万円の営業赤字だったことを受けて戦略を見直す。最大のポイントはMDにおけるアメカジ路線の復活で、19年8月期での営業黒字化を目指す。
同社はここ数年セレクトショップ化を目指してきたが、3日に開かれた決算説明会で川﨑純平社長は、「『ライトオンらしさとは?』を自問自答してきた。お客さまは当社にアメカジを期待している。ジーンズを中心に品ぞろえを強化し、応えたい。『ジーンズを買うならライトオン』を定着させたい」と述べた。ジーンズはトレンド品番だけでなく、今後話題となりそうなモデルやニッチなアイテムまで網羅する。「例えばメンズでは、トレンドではないブーツカットもそろえる」という。
アメカジへの原点回帰は、商品テイストや品番を広げ過ぎて市場に埋没してしまったという上半期の反省からだ。「顧客ニーズに応える中で商品が多様化し、他社との同質化を招いてしまった」と振り返る。さらに「アメカジには定番アイテムが多い。つまりシーズンごとに(値引きして)売り切る必要がない。無理のない店舗MDを実現できる」とした。
2月末にはTIS室を新設した。TISとは“店舗の、意見を、商品化する”の頭文字を取ったもので、約500店舗に2500人以上いるライトオンのスタッフの意見を集約する。仕入れ候補の商品に対してスタッフがスマホを使って投票し、商品決定に役立てるという。「現場の意見を積極的に取り入れ、的中率を上げたい」。
また、プライベートブランドの「バックナンバー(BACK NUMBER)」を秋にリブランディングする。コンセプトは“RE-VINTAGE”で、「ビンテージの持つ物語性を生かしつつ、スケールメリットを生かして素材開発から取り組む。“価格訴求型から、価値訴求型への脱皮”を現実のものにしたい」と話し、「ユニクロ(UNIQLO)」の“ヒートテック”のような「『バックナンバー』といえばこれ、というヒットアイテムを打ち出したい」と続けた。
販路では、2月末までに楽天を除く全ての他社ECから撤退した。「画一化されたプラットフォームでは、ライトオンの商品の魅力を伝えられない」と判断したが、「楽天はサイト内でライトオンの店舗であることをしっかりアピールできる」ととどまった。その一方で自社ECの強化を図る。18年9月に大規模リニューアルし、アウトソーシングしていたシステムの管理を内製化した。3月には、さらに改良して利便性を高めた。「ECで注文して店舗で受け取るサービスが人気で、EC客の4割が利用する」という。