「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、フェイクファーを使用したアパレルやハンドバッグ、アクセサリー類を“ファー フリー ファー(FUR-FREE FUR)”製品と呼んで米国での商標登録を目指しているが、その道が開けそうだ。
米国特許商標庁は、「商標登録に値するほどの特徴がない」として同ブランドの申請を却下したが、商標登録に関する訴訟の審理を行う行政裁判機関である商標審判部が3月29日の審判でこれを覆した。商標審判官のトーマス・ショー(Thomas Shaw)は、「“ファー”という言葉が1つのセンテンス内でリアルファーとフェイクファーの両方の意味で使用されており、矛盾があるところが特徴的だ」と述べた。
特許商標庁が却下したにもかかわらず、申請者がそれに不服を申し立てて、商標審判部が申請者の言い分を支持したという点でこれは画期的な事例だという。これによって「ステラ マッカートニー」は商標を登録する手続きのスタートラインに立てたわけだが、特許商標庁がこのまま引き下がるかどうかは不明である上に、フェイクファーであふれている市場で“ファー フリー ファー”を定着させるのは難題だろう。
近年、カリフォルニア州ではロサンゼルス市やサンフランシスコ市などが毛皮製品の生産や販売を禁止する条例を制定しているほか、ニューヨーク市でも同様の条例が検討されている。「ステラ マッカートニー」はファーフリーの先駆的ブランドだが、こうした動きはほかのラグジュアリーブランドにも広がっており、「シャネル(CHANEL)」や「グッチ(GUCCI)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「バーバリー(BURBERRY)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」などがファーフリーを宣言している。