ビームスは4月20日、「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN以下、ポロ)」に別注したキャップ(1万円)とショーツ(1万4000円)をビームス各店で発売する。「ポロ」ではこれまでになかった、全てのパネルのカラーが違う多色使いのクレイジーパターンで、それぞれのパネルに「ポロ」のアイコニックなポニーの刺しゅうを施す。仕掛けたのは「ポロ」を愛してやまないビームスの新井伸吾バイヤーだ。“ポロ愛”で実現したという別注誕生の裏側を聞いた。
WWD:新井バイヤーは「ポロ」のビンテージコレクターと聞きました。そもそも「ポロ」を好きになったきっかけは?
新井伸吾バイヤー(以下、新井):両親がアパレル会社に勤務していたこともあって、小さい頃から洋服に触れる機会は多かったんです。14歳の時にテニスでNYにホームステイする機会があり、その時出会った人たちが柄シャツや“92”と書いたシャツを着ていました。テニスウエアって色合わせとかを全身でマッチングさせるんですけど、その時のその格好が全身でファッションを楽しむという感じで憧れました。後に、かっこいいと思った柄シャツや“92”と書いたシャツが「ポロ」のモノだと分かって。帰国してからも雑誌とかで勉強したり。それが「ポロ」を好きになった始まりです。
WWD:今回の企画はどのようにして生まれたのですか?
新井:2017年からビームスメンズバイヤーを担当しているのですが、NYの「ポロ」の本社に行く機会をもらえました。それは次のシーズンのモノを見られる展示会なんですけど、「手ぶらでは帰れない」と思っていたので、いつも私物の「ポロ」のビンテージを着て行くようにしていたんです。3回目の時にたまたまロビーで「ポロ」のスタッフに「どうしてそれを着ているの?」と写真を撮られて。実はその時、写真を撮った人がMDのトップの方で、僕の着ていたビンテージが次のシーズンの復刻商材だったみたいなんです。それで、一気にお近づきに成功したというか、やっと「ポロ」愛が伝わった。実は、1回目からプレゼンシートは持って行っていたんですが、3回目にしてチャンスをもらうことができました。
WWD:ビームスとしてはコラボや別注に関してどう考えていますか?
新井:ブランドはロゴがありますが、ビームスはセレクトショップなので、ロゴが得意なわけではありません。だから僕はビームスの色を出さなければならないと考えています。今回の別注に関して言えば、ビームス=クレイジーパターンだった。だから表から見たらどこにも“ビームス”とは書いていませんが、配色だったりパターンだったりを見て、ビームスっぽいねと思ってもらえればいいなと思っています。
WWD:今回のデザインコンセプトは?
新井:やはりクレイジーパターンです。“パネル使い”にフォーカスして、4面全てのカラーを変えたかった。「ポロ」の本社に行くと、色々な生地が積まれているので、その中にある生地から「少し落ち着いた色」や「少し柔らかい色」みたいなリクエストを出しつつ、キャッチボールを重ねていきました。「各パネルにポニーの刺しゅうを入れたい」とリクエストしたのですが、「ポロ」側のアイデアで、左右上下非対称な位置に刺しゅうを入れることなって。こんなクレイジーな仕様が許されるのかとびっくりしました。「ポロ」とビームス両方のアイデンティティーが混ざりあって完成したアイテムです。
WWD:これまでの個人的な「ポロ」のエピソードはありますか?
新井:僕は「ポロ」をビンテージショップでも買いますが、いわゆるリサイクルショップとかスリフトストアとかでも探していて、掘り出しモノを見つけるのが好きですね。だから高いお金を出して買ったモノもあれば、1000円で買ったモノもあるし、トレードもあります。今回の企画のきっかけとなったNYでは、「リビエラ」というシャツを着ていました。ビンテージポロ界では通称名で呼ばれることが多くて、他にも「テニスマン」や「ウィングフット」「Pウィング」「92」「93」とか世界共通で会話が成立するんです。日本企画やアメリカ企画もあって、製造国、モデル、程度、サイズとか、いろんな角度から話が盛り上がります。
WWD:今後の「ポロ」との予定は?
新井:大好きな「ポロ」に別注できて、夢がかなったといえばそうなんですけど、夢のまた夢みたいなものが生まれきたというか。これで終わりたくないので、可能な限り続けていきたいと思っています。