平成の靴カルチャーを振り返ると、「ナイキ(NIKE)」や「アディダス(ADIDAS)などのハイテクスニーカー、「クリスチャン・ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」や「セルジオ・ロッシ(SERGIO ROSSI)」などのラグジュアリーパンプスが印象的ですが、デザイナーの三原康裕の存在も大きかったと思います。
靴のデザインにギミックやレイヤー、オマージュなどの要素を用いて、見る人にも履く人にも、そして靴デザイナーを志す人にもわかりやすい「ヒント」を靴に仕込んだから。服のデザインでは当たり前だったことを、靴では三原さんがレールを敷いてくれたように感じます。例えば、土踏まずのないパンプスなどです。「プーマ(PUMA)」との協業も印象的でした。靴という30cmもないサイズの生活用品の表現の幅を広げた存在だと思います。
五宝賢太郎:1981年徳島県生まれ。茨城大学生活用品デザイン科に進学し、在学中に埼玉県蕨市の靴匠、稲村有好に弟子入り。2007年に工房を引き継ぎ、10年に名称を現「グレンストック」とし、オーダーシューズの受注を開始。15年に六本木店をオープン PHOTO : KOUSUKE MATSUKI
【業界人の「平成プレイバック」】
ファッション・ビューティ業界の若手からベテランまで「平成時代に印象に残った出来事」とは?