伊藤忠商事時代にさまざまなブランドビジネスに携わり、ポール・スミス(Paul Smith)、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)、ヴェロニク・ブランキーノ(Veronique Branquinho)、「クレメンツ・リベイロ(CLEMENTS RIBEIRO)」の2人、ミラ・ショーン(Mila Schon)、ニノ・チェルッティ(Nino Cerruti)など数多くのデザイナーに会ったが、中でも印象に残っているのは「ランバン(LANVIN)」メンズ・クリエイティブ・ディレクターだったルカ・オッセンドライバー(Lucas Ossendrijver)だ。「ランバン」事業には10年以上携わり強い思い入れがある。2008年5月26日に東京都現代美術館で行ったメンズ単独ショー、彼が09年にウィメンズのアルベール・エルバス(Alber Elbaz)=クリエイティブ・ディレクター(当時)と一緒に来日して、両国国技館で行った盛大なイベントは思い出に残っている。当時の「ランバン」人気はすごかったが、ルカは決して偉ぶらず、みんなにフレンドリーで、彼のクリエイションだけでなく人柄もリスペクトしていた。仕事はもちろん、何度か食事をした仲で、ファッションショーのとき、私が手を振ると彼も振り返してくれた。平成を振り返ると一番に思い浮かぶのは、彼が「ランバン」を去ったことだ。
武内秀人ジョイックスコーポレーション社長:1966年1月1日、京都・嵯峨野生まれ。神戸大学法学部卒業後、88年に伊藤忠商事入社。輸入繊維部、2年間のフランス研修を経て、2007年にブランドマーケティング第八課長、14年に同第三部長に就任。「ランバン」「ヴィヴィアン・ウエストウッド」などを担当。16年4月にジョイックスコーポレーションに出向(常務)し、17年6月から現職
【業界人の「平成プレイバック」】
ファッション・ビューティ業界の若手からベテランまで「平成時代に印象に残った出来事」とは?