フィンランド発のインテリアブランド「アルテック(ARTEK)」の日本初の直営店「アルテック 東京 ストア(ARTEK TOKYO STORE)」が4月27日、東京・表参道にオープンした。オープン前の25日には、マリアンネ・ゴーブル(Marianne Goebl)=アルテック社長とアルテックを傘下に置くノラ・フェルバウム(Nora Fehlbaum)=ヴィトラ(VITRA.)最高経営責任者(CEO)、インテリアデザインを手掛けたダイケイミルズの中村圭祐デザイナーらが関係者に向けてトークショーを行った。
「アルテック」のゴーブルCEOは「日本はフィンランドに次ぐ市場で、北欧のライフスタイルを表現する店をずっと開きたいと考えていた。フィンランド人と日本人には共通点があり、例えば、シンプルで控えめなディテールを好むことも同じね。『アルテック』は1935年に4人の理想家が『アートを通じて日々の生活をモダンでいいものにしたい』と立ち上げて、当時のヘルシンキの店にはギャラリースペースも併設していた。東京の店も文化を発信する場所としてデザインや建築に関するイベントを開催していきたい」と語った。
また、「そもそも『アルテック』は毎日使えて長く使えるもの、キャラクターがあるけれど周りのインテリアと調和するもの、経年変化が楽しめるものを念頭に置いた商品を紹介しているが、今後はコンテンポラリーアーティストと組んで新しい側面を見せていきたい」と語る。ゴーブルCEOは2011~14年に、「デザイン・マイアミ(Design Miami)」およびデザイン・マイアミ / バーゼル(Design Miami/Basel)」のディレクターを務めた経験がある。
フェルバウム=ヴィトラCEOは、「日本には熱烈なサポーターがいると感じている」と、自身の父と叔父が1980年代に来日したときの写真を紹介しながら日本と「ヴィトラ」の関係について話し始め、「多くの地でショップがなくなっているなかで、日本はショップでモノが活発に動いていると感じる。だから、日本で店を開くという決断は難しくなかった」と開店に至った経緯を説明する。
13年に傘下に収めたことについては「ヴィトラと『アルテック』はクラシックでコンテンポラリーな商品を提供することが共通点である。傘下に収めたことで『アルテック』はヴィトラに新たな言語をもたらした。『アルテック』はよりシンプルで洗練されているから」と言う。また、「ヴィトラのビジネスの目的はデザイン性の高い商品を世界中に届けることであり、文化を伝えることでもある。叔父は(アルテックが扱う)アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)の大ファンだった」とエピソードを交えて話した。
地下1階、地上1階の計約200平方メートルの店舗は、「アルテック」やアルヴァ・アアルトの世界観を表現したという有機的な曲線が特徴だ。1階と地下1階の世界をがらりと変えるような階段があり、地下1階の店舗外には中庭のようなドライエリアがある。そこでは1500個のレンガの組み合わせと植栽が温かみを醸し出している。内装を手掛けた中村デザイナーは「リクエストされたのは“フィンランドを感じる空間”。フィンランドを初めて訪れて、大自然と人のぬくもりを感じた。コンセプトを“湖のほとりを歩いて家路につく”としてデザインした。木漏れ日のような光、大きな曲線がポイント。家に帰ってきたようなウエルカム感を表現した」と語った。