インテリア雑貨大手のフランフラン(FRANCFRANC)は家具の新ブランド「モダンワークス(MODERN WORKS)」の店舗を4月20日に東京・青山、23日に横浜みなとみらい東急スクエアにオープンした。「モダンワークス」はデザイン、品質、価格のバランスを重視したブランドで、リビング、ダイニング、ベッドルームの家具類やラグ、アートを提案。青山店は、同日にオープンした総面積約2500平方メートルの文化発信兼交流の場である「フランフラン スクエア(FRANCFRANC SQUARE以下、スクエア)」の一部で約790平方メートル。「スクエア」と同じく来年2月までの期間限定だ。約620平方メートルのみなとみらい東急スクエア店では約1200SKUをそろえる。新ブランド立ち上げに関して高島郁夫・フランフラン社長に話を聞いた。
家具業界における
新スタンダードを提供
「社内のスタッフからの、『市場に欲しい家具がない』という声からスタートしたブランドだ」と高島郁夫・フランフラン社長は語る。「モダンワークス」では、リビングダイニングシーンを中心に、日本の住空間に合う品質のよいシンプルで洗練されたデザインの家具がそろう。高すぎず、安すぎず、妥当な価格帯というのも魅力だ。シンプルで手頃な価格帯の家具といえば「無印良品(MUJI)」があるが、「モダンワークス」は「もう少し素材やスタイルなどに選択の幅がほしい」という消費者にはぴったりの品ぞろえだ。ありそうでなかったゾーンの家具ブランドといえる。
「『フランフラン』は女性がターゲットでファッション性の高さが売りのブランド。一方で『モダンワークス』は“ノーマル・スタンダード”をコンセプトに、家具業界における新スタンダードを提供していきたい」。もともと家具の商品企画からスタートしたフランフランの強みを生かしたのが「モダンワークス」だ。「日本の家具市場は約3兆円だが、いまだに地方の家具店のシェアが多い古い業界だ。一方で家具好きの若い消費者が増えている。そのギャップを埋めたい」と高島社長。
世帯収入が500万~1000万円の
カップルや家族がターゲット
主力商品の割合および中心価格帯はソファが35%で約15万~20万円、ダイニングチェアが25%で約1万~4万円、キャビネットが15%で約3万~15万円。高島社長は、「都会に住む30~40代の、世帯収入が500万~1000万円のカップルやファミリーがターゲットだ。白壁でフローリングのマンションに合わせやすいシンプルなデザインをそろえている」と話す。量販店の「ニトリ(NITORI)」や「イケア(IKEA)」に関しては、「どんな消費者でも、毎日ファストフードばかり食べていると嫌になるはず。特に家具に関しては、安さを売りにするものよりは、妥当な品質のものを妥当な価格で欲しいと思うはずだ。(『ニトリ』や『イケア』とは)違う立ち位置で戦っていく」ときっぱり。
青山店、横浜店と立て続けに出店する理由は、「横浜店は以前から決まっていたが、青山店が急きょ決定した。青山店は来年2月までの予定だが延びる可能性もある」。当面は青山店と横浜店の運営状況を見て、今後の出店を考えるという。「家具屋は広さが必要。また、目的買いがほとんどなので、ロケーションにはあまりこだわらない。倉庫をリノベーションして雰囲気のある店にするなど、面白い店舗を出したい」。ゆくゆくは、北海道の札幌やニセコ、長野・軽井沢、福岡などの地方の出店も視野に入れていくという。「シェアオフィスなどに家具を提供するコントラクト(請け負い)をはじめ、ブランドが浸透してくればフランチャイズ展開の可能性もある」という。
フランフランは
年商300億円で安定期に
フランフラン(前バルス)は2013年、セブン&アイ・ホールディングス(HD)と資本業務提携を締結し、セブン&アイHDが全株式の48. 67%を取得した。当時は「フランフラン」のほか、デザイン性の高いインテリアや雑貨を扱う「アジト(AGITO)」や「バルストウキョウ(BALS TOKYO)」、和テイストの食器や小物の「ジェイピリオド(J.PERIOD)」、サーフライフスタイルがテーマの「WTW(ダブルティー)」などライフスタイル関連のブランドを展開していたが16年に「フランフラン」以外のブランドを終了。「WTW」は同年4月に青山商事に売却した。それ以降は、「フランフラン」をメインに商品構成や価格帯の幅を広げブランド強化を図り、17年には社名をバルスからフランフランに変更。近年「フランフラン」のブランディングを変更し女性にターゲットを絞り、ファッション感覚で楽しむインテリアを提供している。フランフランは昨年、国内外の職人技にこだわった雑貨ブランドの「マスターレシピ(MASTER RECIPE)」をスタートさせ京都・祇園に1号店をオープンした。フランフランの年商は300億円程度で、ここ数年はほぼ前年並みで安定期に入っている。「モダンワークス」が、2極化する日本のインテリア市場に新たな商機を見出せるかどうかが注目される。