テーブルウエア&陶器メーカーのリチャード ジノリ(RICHARD GINORI、以下ジノリ)はジョヴァンニ・ジュンケーディ(Giovanni Giunchedi)社長兼最高経営責任者(CEO)の退任を発表した。親会社ケリング(KERING)のメディ・ベナバジ(Mehdi Benabadji)最高財務責任者が暫定的に業務を引き継ぐ。
1735年から続くジノリは、2013年に倒産したが、同年グッチ(GUCCI)が1300万ユーロ(約15億円)で買収し、16年にケリングが「その他のブランド」部門に収めていた。
「当社が近年経営難という状況から、ブランドの再起において鍵となる一連の布石を打ち終え、完全なる合意のもとに自然な終わりを迎えた」とジュンケーディ社長兼CEO。同氏は「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のサステイナビリティー・ディレクターとして12年にケリングに入社し、15年から高級シューズブランド「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」のCEOを、ケリングが欧州の投資会社インベストインダストリアル(INVESTINDUSTRIAL)に売却するまで務め、16年から現職に就いた。
就任後は公式サイトを強化し、欧州および昨年には中国のECサイト「セクー(SECOO)」とタッグを組んでオンライン販売を開始した。また、ジノリの製品を生産しているフィレンツェ郊外のセスト・フィオレンティーノにある工場の買収を成功させ、ブランド再生の礎を築いた。
アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)「グッチ」クリエイティブ・ディレクターは14年に「リチャード ジノリ」のクリエイティブ・ディレクターに起用されており、“オリエンテ イタリアーノ(ORIENTE ITALIANO)”コレクションなどの人気アイテムを誕生させた(ミケーレは翌年の現職就任と同時に退任)。ジノリは昨年デビューした「グッチ」のインテリアコレクション“グッチ デコール(GUCCI DECOR)”の陶器も手掛けている。
ジノリの売上高は15年の1280万ユーロ(約15億円)から17年には1410万ユーロ(約17億円)まで成長しており、2022年までに連結売上高3000万ユーロ(約36億円)とすることを目標にしている。
大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。