和歌山を拠点にニットを生産するテキスタイルメーカーのエイガールズが好調だ。2019年3月期の売上高は前期比13%増の22億円だった。売り上げ増を後押ししたのは、インドの超長綿スビン綿をベースにした同社の代表的素材“ロータス(LOTUS)”シリーズだ。売り上げの約3~4割を占めるヒット素材で、国内向けはもちろん、海外の人気ラグジュアリーブランドがこぞってTシャツなどの定番品に用いている。「定番品に用いられているため、毎シーズン必ず買い付けがある」と山下装子取締役兼新規事業・広報室長は言い、尾崎孝夫取締役兼企画部部長は「糸も編み機もほかにはない組織を設計している」と胸を張る。
“ロータス”は、「インドのハスの花(ロータス)の凛とした美しさと、インド綿の最高傑作であるスビン綿からインスパイアされた」(尾崎取締役)という素材で、スビン綿は、一本一本の繊維がどの品種よりも長く細いことで知られ、しなやかでやわらかい風合いを生む。原綿は程よい天然油脂分を含んでいるため、シルクのような光沢がある。最盛期には6000トンの生産があったが、現在ではわずか300トンしか生産されず、その希少で風合いのよい綿の特性を生かすために、甘撚りにした糸を用いて独特の編み設計にしている。
同社は2017年、世界最高峰の素材見本市として知られる「プルミエール・ヴィジョン(Premiere Vision以下、PV)」が主催する「PVアワード」でグランプリを受賞するなど、日本を代表するクリエイティブなテキスタイルメーカーとして知られる。