フランス国立モード芸術開発協会が主催する「ANDAMファッション・アワード(ANDAM Fashion Award以下、ANDAM)」2019年度のグランプリに、フランス出身のクリステル・コーシェ(Christelle Kocher)による「コーシェ(KOCHE)」が選ばれた。
コーシェは賞金として25万ユーロ(約3050万円)を手にし、「ディーゼル(DIESEL)」創始者であるレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)OTB会長から、財務やマーケティング、コミュニケーション、生産についてのメンターシップを受ける。
27日にパリの仏文化省で開かれた授賞式でコーシェは「4年前にブランドを立ち上げてから既にたくさんのことを実現してきたが、この賞を獲得して成長をさらに加速させていきたい。今後は人員を増やし、より大きなアトリエを構え、デジタル部門を強化するとともに、ポップアップストアや店舗の出店もしていく」と語り、「30年前の初代グランプリのマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)も審査員として携わったANDAMのサポートを受けられることは、私自身、そしてチームにとって大きな価値になる」と締めくくった。
クリステル・コーシェは1978年10月10日生まれの40歳。セント・マーチン美術大学を卒業後、「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」「マルティーヌ シットボン(MARTINE SITBON)」「クロエ(CHLOE)」「ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などのラグジュアリー・ブランドで経験を積み、2010年にシャネル(CHANEL)傘下のクチュールアトリエのルマリエ(LEMARIE)でアーティスティック・ディレクターに就任。14年に自身の「コーシェ」を立ち上げ、クチュールとストリートカルチャーを融合した“クチュール トゥ ウエア(COUTURE TO WEAR)”をコンセプトにしている。パリ・ファッション・ウイークに参加し、東京では16年と19年にファッションショーを開いている。自身の「コーシェ」のデザインを手掛けるかたわら、現在も「シャネル」がクチュールで使用する繊細な羽根細工やカメリアなどのコサージュのディレクションも担当する。
今回のANDAMは30周年の節目。クリエイティブ・レーベル賞は「ニコラ ルクール マンション(NICOLAS LECOURT MANSION)」、アクセサリー賞は「カオレ(KHAORE)」、イノベーション賞には「ウォーン アゲイン テクノロジーズ(WORN AGAIN TECHNOLOGIES)」が受賞した。