大手SPA、セレクトショップ、専門店の2019年6月の売上高(既存店ベース)は、低気温の影響は小さく、Tシャツやワンピース、ロングスカートといった夏物商品がヒットし好調に推移したという声が多かった。在庫消化を意図したセール期間の前倒しなども少なかったようだ。
ユニクロの国内既存店とECの合計売上高は、前年同月比27.3%増と大幅増だった。昨年は5月に行った恒例の“誕生感謝祭”を今年は5月31日~6月3日に行った効果も大きいが、「その効果を加味しなくても6月は好調だった」と広報担当者。ウィメンズはUVカットのニットカーディガンやUT、ブラトップ、エアリズムなどと共にトレンドアイテムのロングスカートがヒット。メンズもUTやドライEXのカットソー類、感動パンツなどが売れた。「UTはカウズやポケモンなど多数のコラボレーションをそろえたことで、話題性が高かった」。“誕生感謝祭”の後ろ倒しには一定の手応えを得つつも、「売り上げが天候に左右される部分が大きいため、来年以降も“誕生感謝祭”を梅雨時期に行うべきかは検討する」という。
「無印良品」を運営する良品計画の直営既存店売り上げは同6.2%増。「ほぼ計画通りに推移した」(広報担当者)という。力を入れている食品カテゴリーで同16.0%増と2ケタ増が続いたほか、衣服・雑貨も同6.5%増と伸ばし、生活雑貨も同4.5%増と満遍なく好調だった。衣服・雑貨では、Tシャツで複数のヒット品番が出て売り上げをけん引した。
ユナイテッドアローズ(UA)の小売りとECの既存店売上高は同3.5%増。この間好調なウィメンズだけでなく、メンズも良かったといい、「4~5月は気温が低く夏物の動きが遅れていたが、6月に入って取り返した」と広報担当者。売れ筋は、ウィメンズはワンピースやロングスカート、サンダル、メンズはビジネス用途にも使える半袖シャツなど。セールは多数の商業施設で6月26日に開始。「セールの前倒しによる期間拡大などは特に必要がなかったので、行っていない」という。
アダストリアは、既存店売上高が同4.7%減と落としている。ただし、昨年は4~5月の売り上げ不振を受け、在庫消化のために6月にセールを前倒しして実施。それに対して、「今年は値引きを抑制しており、内容としては悪くない」(広報担当者)という。6月の既存店客数は同11.6%減となったものの、客単価は同7.8%増と「大きく改善した」。売れ筋はワンピース、スカート、Tシャツ、サンダルなどだった。同社は年始の福袋販売の廃止も含め、値引きの抑制をこの間進めている。
しまむらの主力である「ファッションセンターしまむら」の既存店売上高は、同2.1%減と厳しさが続いている。「プライベートブランドのシャツやティーン向けのワンピースなどは好調だったが、父の日向け商品やキッズのスイム用品が伸び悩んだ」(広報担当者)という。