1年前に絶頂期を迎えたストリートブームは、2019-20年秋冬コレクションで終焉を迎えたといえる。それに代わり、同シーズンでは新たなトレンドがいくつか浮上した。その中で最大のトレンドといえるのが“クラシック”だ。また、“クラシック”と双璧をなす勢いで台頭してきた“ダーク”なムードにも注目したい。そこで、19-20年秋冬シーズンに押さえるべき5つのトレンドキーワードを取り上げる。
KEY1:クラシック
19-20年秋冬シーズン最大のトレンドとして挙がった“クラシック”は、トレンドが定期的に巡るファッション業界において、“ストリートブームからの揺り戻し”と見ることもできる。一方で、従前から注目されてきた“女性の強さ”の一表現という見方や、世界的な情勢不安などをきっかけに“古き良き時代”に 希望を見いだした結果なのかもしれない。各ブランドが掲げる“クラシック進化論”をアイテム別に紹介する。
素材や色で遊ぶことで今年らしさをプラス。ボクシー&長丈が主だがクロップド丈も多く、ダボっとしたパンツと合わせることでバランスをとるスタイリングが目立つ。
定番アイテムのトレンチは素材に変化をつけて進化。ベースとなるトレンチコートの要素は残しつつ素材のミックスで新しさを加えるなどさまざまなアレンジが見られた。
クラシックの定番ともいえるボウやボウタイの提案が豊作だった。フェミニンな要素が強いボウは、ブラウスやジャケットをショルダーコンシャスにすることでマスキュリンにも着こなすことができる。
チェック柄やサテンなど光沢のある素材を用いたセットアップが豊富。深いブルーやフューシャピンク、オレンジといった鮮やかな色の提案も多かった。また、ベルトを使いウエストマークするスタイリングも目立った。
KEY2:ダークムード
2019-20年秋冬のファッション・ウイークは、赤や黒、紫の色使いのウエアに、ホラー映画を思わせるおどろおどろしいメイクを施した演出が多出した。一見、難易度の高そうなスタイルだが、レースやチュールを用いながら、肌を透かしたり、スリットで肌見せしたりすることで、大人の女性が着こなすセンシュアルなムードも漂う。
KEY3:音楽カルチャー
英ロックバンド、クイーンのフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)を題材にした映画「ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)」の大ヒットも後押しし、1970〜90年代のロックスターやクラブカルチャーに影響を受けたブランドが多かった。「サンローラン(SAINT LAURENT)」はビアンカ・ジャガー(Bianca Jagger)ら70年代のファッションアイコンにオマージュを捧げた。「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」は80年代のトムボーイ、ボーホー、ディスコの要素を凝縮し、女性の力強さを演出した。90年代のグランジ・ファッションの代名詞、カート・コバーン(Kurt Cobain)を着想源にした「トッズ(TOD'S)」は、ロック歌手を思わせる重ね着を提案した。
KEY4:ガーリー&フェミニン
フェミニンを追求したクラシックでは、“ガーリー&フェミニン”が復活。トレンドを象徴するパフスリーブやショルダーコンシャスなシルエットにミニ丈のフレアスカートが登場した。プリントは小花柄が多く見られた。
KEY5:エフォートレスシック
新たに浮上してきたものではないが、その洗練されたムードはオトナの女性からの支持が根強く、ミラノブランドを中心に安定した地位を築いている。アイテムとしてはスカートよりもパンツの提案が多く、ロング&リーンなシルエットが主流。追求するのは素材の上質さだ。