「WWD JAPAN.com」は6月上旬、イケア(IKEA)が2020年にも日本と香港で実証実験を開始する、“新しい住居のカタチ”にまつわる記事をアップしました。
■LDKをほかの誰かとシェアできる? 「イケア」が世界的宅地不足に新提案
これは、世界的に深刻な都市部の宅地不足問題に対する新提案。提案は新たな都市構想とから狭小住宅向けのインテリアまで、さまざまなスケールの複数のアイデアから成り立っていますが、日本と香港で実証実験するのは、「シェアリング」をキーワードに据える新しい住宅。簡単にいえば、2つの家族が1つのダイニングキッチンをシェアする暮らしの提案です。
イケアが提案する住居は2つの家族に向けたものですから、例えば玄関やリビングは2つずつ。それぞれの家族が、別々の玄関、そしてリビングを有します。しかし、そこから奥に進む中央のダイニングキッチンは、2家族で1つ。その分、小さなスペースでも2家族が住めるというアイデアです。ダイニングキッチンは2つの家族が共有するため、シンクを2つ備えています。仲良し家族なら、毎日がバーベキューパーティーみたいで楽しいでしょうか?それとも、やっぱりストレスが溜まるものでしょうか?
そこで「WWD JAPAN.com」は、公式ツイッターとインスタグラムを通じて、フォロワーのみなさんに「『シェアリング』住宅、住んでみたい?住みたくない?」とアンケート。結果は、ツイッターでは8割強(84%)が「住みたくない」。一方、インスタグラムでは1/3(33%)が「住んでみたい」と回答し、「シェアリング」住宅の可能性をうかがわせます。ツイッターには、「独身だといいけれど、家族となると根付かないと思う。シェアが日本よりも一般的なイギリスでも家族を持つとシェアを卒業する人は多い。夕飯時に他の家族と重なるとストレスが溜まりそう」という意見が寄せられました。ツイッターと比べてインスタグラムに肯定派が多いのは、ユーザーが相対的に若いであろうことも関係していそうです。
現状、いずれのSNSでも「シェアリング」住宅賛成派はマイノリティーだし、これがすぐ逆転するとは思えません。しかし取材した立場から発言すると、一企業にも関わらず世界的な問題に立ち向かい、とは言えもちろん単体では解決できないからそれに向けてベストパートナー(「シェアリング」住宅では、傘下のR&D集団や北欧のテック企業とタッグを組んでいます)を選定。まだまだ未完の段階からプロトタイプを公開しつつ、企業としての意志を表明したスタンスには強く共感しています。結果、「シェアリング」住宅という、正直に言えば突飛なアイデアさえ「革新的」と感じ、応援したくなっているのがホンネです。
実証実験が成功するか否か、「シェアリング」住宅が根付くか否か、はイケアの意志の発信次第なのかもしれません。