日本ゴアは7月31日、2019-20年秋冬に本格発売する“ゴアテックス インフィニアム プロダクト(GORE-TEX INFINIUM PRODUCTS以下、インフィニアム)”を用いたメンズアイテムを紹介した。
“インフィニアム”は従来の「ゴアテックス」のようにゴア社による徹底した品質基準テストを設けておらず、ゴア社の技術力を生かした機能性を有しながらも、よりデザインの幅が広がる汎用性の高さが注目を集めている。環境条件やアクティビティに応じて必要なテクノロジーで快適性を提供でき、特にタウンユースのアイテムに取り入れやすくなったのがポイントだ。
例えば「モンベル(MONT-BELL)」は持続的なはっ水性と柔らかな手触りを併せ持つ表地とソフトで快適なライニングと透湿性を実現したジャケットを販売する。また、従来の「ゴアテックス」を用いたアイテムでもデザインの幅が広がっている。「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」は表地をなくした表面に「ゴアテックス」のメンブレンを露出させた2層構造のジャケットを提案した。
同社の製品を採用するウールリッチジャパンの川田慎二社長は、「“インフィニアム”は、都市生活向けのアイテムでアウトドア機能とファッション性を併せ持ったデザインができる。生地の柔らかさなどもあり自由な発想で商品設計できるようになった」と汎用性の高さに触れ、従来の「ゴアテックス」についても、「たいていのテキスタイルメーカーは生地単体の供給のみで、商品ができるまではメーカーに委ねられるが、『ゴアテックス』の場合は、防水、透湿、はっ水など厳しい基準をクリアしなければ商品化できない。こうした仕組みを持つため、お客さまからの信頼性の高さも他にはない」と語る。
また、「欧州ではサステイナビリティーの概念が根付き始めて、サステイナブルな商品でないと出展できないということもあるほど。『ゴアテックス』製品は環境に配慮されたモノ作りをしている点でも評価できる。当社としても持続可能な社会を消費者とともに作ることが重要だと考える。使い終わった後までを考える仕組みをサプライヤーとも考えていきたい」と語った。
リーガルコーポレーションは「ゴアテックス」を用いた靴を20年前に開発し、それ以降毎シーズンアップデートしながら主力商品として提案している。森田幸之介・商品企画は「ブランドの強みである王道のドレスシューズを日本の高温多湿の天候に合った環境下で履いてほしいという思いから開発が始まった。伝統的なグッドイヤーウェルト製法でパーツを縫い合わせる工程でメンブレンを傷つけることなく縫い合わせることや品質基準テストに苦労して製品化までに2年かかったと聞いている。伝統的な製法と革新的な技術を融合した商品はほかにはない」と胸を張る。また、「靴に求める機能性は日に日に大きくなっていると感じる。その中で、メインアイテムがレザー製のビジネスシューズである当社としては、全天候に対応できて防水・透湿性があり快適性に優れた『ゴアテックス』は相性がいい」と話した。
なお、「ゴアテックス」は18年から、環境への影響に懸念のあるフッ素化合物を含まない耐久はっ水加工を導入し、また、リサイクル材を原料とした表地を用いたウエアの展開を開始している。19-20年秋冬からは、繊維になる前の原料の時点で染色する原液着色を導入。原液着色は、従来の染色に比べ平均で水消費量が88%、温暖化指数が96%削減できるサステイナブルな染色法だ。