こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。先週会った人、見たもの、食べたものを記録してゆく日記形式の連載を始めました。梅雨明けした東京は連日快晴。夏休み入りもして編集部がある六本木、特に六本木ヒルズは連日大混雑です。
7月24日(水)
NHKから取材を受け考える
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NHK BSの「ヨウジヤマモト~時空を超える黒~」を制作した酒井章行ディレクターから取材を受けました。5月2日に放送した同番組に新しい要素を加えて再編し海外へ配信するそうです。お題は「『ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)』が80年代にパリに与えた黒の衝撃とは?」&「なぜ『ヨウジヤマモト』は今再び若者に支持されているのか?」。難しいけれど改めて質問をもらうと脳が覚醒されるようで楽しい。うまく答えられたかな?
酒井さんがこの番組を作るきっかけとなったのは2015年に広がった学生運動「シールズ」がプラカードを掲げる様子が、「シャネル」15年春夏コレクションのショー演出とそっくりだったから、だそうです。同コレクションは、フィナーレでモデルたちが男女平等や平和を訴えてプラカードを掲げて行進しましたが、改めて写真を見比べてみると確かにプラカードの使い方がそっくり!プラカードなのだから似て当たり前と思うかもしれませんが赤、青、白を中心とした配色やフォントなどがホントにそっくりです。そこからファッションが社会に与える影響について思いを巡らせたそうです。
テレビでのファッションの扱いは“トレンドチェック”や“ビフォー&アフター”などステレオタイプなものが多く、影響力が大きいメディアだけに残念に思うというか、ほぼ諦めていました。ファッションと社会のつながりは太く経済そのもので考察に値するものなのに、と。だから酒井さんの話を聞いて嬉しくなったし負けていられないとも思ったのでした。
7月25日(木)
真珠のネックレスができてゆく!
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「ミキモト(MIKIMOTO)」銀座店では定期的に入場無料の展覧会が開かれています。今夏は職人の技と感性を伝える内容で、極細の筆でデザイン画を描いたり、顕微鏡を使って作り上げていったりする様を間近で見ることができます。目を奪われたのは真珠の選別を行う仕事。サイズや色を瞬時に見極めて高速でより分けています。一本のネックレスに使う真珠は色のトーンは統一だけど、サイズは首元と胸元で数ミリ違うそうです。凄!高速だけどしなやかで、ここは銀座なのに職人さんの背後に伊勢湾の穏やかな海が見えるようです。9月2日まで開催しています。
7月25日(木)
「ストレンジャー・シングス」の
コラボがカワイイ
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みんな大好き「ストレンジャー・シングス」、特に若者が大好き「ストレンジャー・シングス」。「リーバイス」とのコラボではこんな風になっていました。カワイイ……。
この日はキャットストリートの入り口にオープンした「リーバイス」原宿旗艦店のお披露目でした。目玉はオーダーメードサービスで、世界に一つだけのジーンズを作ることができます。日本に2人しかいないというマスターテーラーのひとりが写真の女性。かっこいいです。
キャットストリートを見下ろす機会はありそうでないと思うのですが、このお店の上階からはその蛇行する形もバッチリ見ることができて、ここが渋谷川遊歩道だった面影をしのびます。という訳で、屋上でPRの小神野直子さんと弊社の「リーバイス」担当を写真に収め、でっかいデニムのクラッチをいただいて帰りました。
7月27日(土)
思い立ち香港へ一人旅
ニュースでデモの様子を繰り返して見て香港の今が気になっていたことに加えて現在追っかけ中の村上隆さんが香港で開催中の展覧会でトークショーを行うと聞き、気づいたら土曜日朝の香港便をポチっていました。「今後アジアのビジネスが益々重要になる」などと口では言っているものの、「アジアの何を知っているのだ?私?」と思う部分も多々ありジレンマ。公道を埋め尽くす香港のデモの様子をSNSで見ながら、今そこで何が起き、どんな価値変化が起きているのか、少しでも体感しようと思い立ちました。
村上隆さんは、欧米のアートの文脈をとことん研究し勝ち上がってきた(自身のメッセージを届けることに成功し、作品が高額で売れている)方ですが、その村上さんが今の香港で香港の人たちに何を語るのか、非常に興味がありました。
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トークイベントには大勢の人が集まり、熱心に話を聞いていました。村上さんのフラワーの大ファンだという女性は、「この花を見ていると元気になるから」と語ってくれました。彼女が大切に持ってきていたのは、マーク・ジェイコブス時代の「ルイ・ヴィトン」とのコラボのスカーフ。「今日はサインをしてもらいたくて」と見せてくれました。
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そして街のあちこちに「レノン・ウォール」と呼ばれる付箋だらけの壁があり、香港の人たちが「逃亡犯条例」改正案に対する抗議の意思を示していました。職場などでは誰もこの話をしないそうです。香港生まれの人、メーンランド生まれの人、香港で生まれて一度海外に出て戻ってきた人、海外から香港へやってきて中国相手に商売をしている人。所得の2極化が進み、いろいろな立場の人がいる中で、言葉には出さず、メッセージを描いた付箋を黙って貼り、歩く。その静かな声の集合体が「レノン・ウォール」でした。
23時間滞在の香港旅行でしたが行ってよかったです。この話を続けると10スクロール分位の長文を書いてしまいそうなのでこれで止めます。明日8月6日(火)配信のメルマガ「エディターズ レター」でもう少し書きますので、ご興味ある方はぜひメルマガ登録をお願いします。
それにしても香港のエスカレーターのスピードはめちゃ速いですよね。地下鉄構内に「エスカレーター内歩くな危険」のユニークなポスターが貼られていましたが、危うくこうなりそうでした。
7月29日(月)
キレッキレの美容師たちとトーク
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ガモウ関西が主催する美容師のためのイベント「ファッションスコープ」に登壇するため京友禅の街、四条にある京都産業会館へ。第1部では私がキレッキレのトレンドセミナーを(冗談です。普通です)、第2部では3人の人気美容師さん(前列左からMaraisの山中周也さん、codaの西沙由里さん、Lewesの由良武志代表)がライブパフォーマンスを行いました。こちらは文字通り、目にも止まらぬハサミ使いがキレッキレでした。
こちらのイベントには何度かおじゃましているのですが、ヘアショーで披露されるカットは昨年まではボブが多かったのに対して、今年は皆さんかなりハサミを入れていた印象。乾いた質感のウルフカットが新鮮でした。そしてこちらでも「ストレンジャー・シングス」に着想を得たという声を聞きその影響力を実感したのでした。
7月29日(月)
これは塗り絵です。
海外土産にオススメです
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京都・四条の本屋さん「大垣書店」は京都感が満載の品ぞろえが楽しく、そこで見つけたのがこの塗り絵です。絵の解説は全部英語です。業界関係者の皆さん、海外のデザイナーさんへのお土産にいかがでしょうか?
からの~、書店の隣の和カフェで販売部長と京都らしく和パフェをいただきました。彼はきな粉が好きだそうです。長いつき合いになりますが知らなかったです。
7月30日(火)
高校生が編集部にやってきた
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「ファッション業界を目指したいので話を聞かせてください!」と、知り合い経由で17歳の高校生が編集部を訪ねてきました。小松菜奈さん似の彼女はまず「名刺がないので作ってきました」と似顔絵入りのカードをくれました。ほっこりします。ありがとうね。
話し込むうちに、今彼女が関心あることは循環型のモノづくりであったり、韓国ファッションであったりといったことを知り、私も大変勉強になりました。「将来どういった形でファッションに関わるか悩み中だけどビジネスを知りたいから大学は法学部を目指す」そうです。頑張れ!ちなみに、好きなブランドは「買えないけれど『ヴァレンティノ』」だそうです。理由は「美しいから」。シンプルでよい理由です。そして同意です。
7月31日(水)
ビューティ編集部は頑張りました
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「WWDビューティ」編集部がイベントを開くとの情報をキャッチし偵察へ。嘘。応援へ。会場はなぜか美しい男女ばかりで一瞬焦り、慌ててリップを塗って若干整えて入場しました。大出編集長(余談ですが私と同じ高校出身)と北坂記者のトレンド解説に皆さん、熱心に耳を傾けていました。セミナーの後はメーカーさんのブースで新商品を試したり、サンプルをもらったりと大盛況。お疲れさまでした!
8月1日(木)
8/5&12号「デニム特集」の校了と本日のおやつ
8月5&12日合併号は、「デニム特集」です。巻頭特集は、デニム担当がLA出張しリーバイスやファーストリテイリングのラボや、ビンテージのプロフェッショナルたちに取材をしてきました。特集内に「ラボによって絞り出された一滴をどうプロダクトアウトするのか」という記者の一言があり、これはオートクチュールとプレタポルテの関係性も同じ。デニムとドレスとアイテムは違えど、モノづくりの共通点を見ました。ぜひお読みください!
今日のおやつは「フラグメント」のサンダーマーク入りのベビースターです。ピリ辛でした。