カナダの小売り大手のハドソンズ・ベイ・カンパニー(HUDSON'S BAY COMPANY以下、HBC)が、傘下の老舗百貨店チェーンのロード&テイラー(LORD & TAYLOR)を創業7年目のル・トート(LE TOTE)に売却する準備に入った。サンフランシスコ発のファッションテックが、苦戦の続く老舗百貨店を救済する形になる。
ロード&テイラーは今年に入って、ニューヨーク五番街の旗艦店を筆頭に数店舗を閉店していた。ただ店舗自体は、婦人のイブニングドレスや紳士スーツなどの分野で高い認知度を有しており、親和性の高いカテゴリーのアイテムをレンタルしているル・トートもそこに魅力を感じているようだ。
業界関係者によると、ロード&テイラーは全米で40店舗を展開しており、ル・トートは大半を引き継ぐと見られる。また、HBCはロード&テイラーを売却するだけでなく、傘下の別の百貨店のサックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)や自国カナダの百貨店ハドソンズ・ベイでもル・トートの持つテクノロジーを活用する考えのようだ。
ル・トートは、投資銀行リッジクレスト・キャピタル・パートナーズ(RIDGECREST CAPITAL PARTNERS)出身のブレット・ノーサート(Brett Northart)とラケシュ・トンドン(Rakesh Tondon)の2人が、米カリフォルニア州サンフランシスコで2012年に創業。アパレルや雑貨のサブスクリプション・レンタルサービス「Letote.com」は、“アパレル版のネットフリックス”として急成長を続けている。累計で6250万ドル(約66億円)を資金調達しており、出資者にはアズール・キャピタル・パートナーズ(AZURE CAPITAL PARTNERS)やサイモン・ベンチャー・グループ(SIMON VENTURE GROUP)などのベンチャーキャピタルが名を連ねている。