パークアンドポート(東京、櫟山敦彦代表)は、リアル店舗の商品仕入れをサポートするサービス「ポルタス(PORTUS)」を9月末にリリースする。実店舗を持つ、もしくは今後持つ予定の事業者は、「ポルタス」と契約したメーカーやブランドの商品の仕入れを同サービスのサイト上で完結できる。ブランドは現在複数社と契約中で、今後も順次開拓していくことでアパレルや小物雑貨、コスメ、スマホアクセサリなどのライフスタイル全般を取り扱う予定。そのほか、店舗の立地や業態といった状況を分析し、新ブランドや新商品、追加仕入れの提案などを行うバイイングサポートシステムを用意する。現在はサービスローンチに先駆け、店舗の事前登録を受付中だ。
「ポルタス」を率いる櫟山(いちやま)代表は繊維商社でブランドビジネスに携わった後、27歳で独立。企業のコンサルティングなどを行いつつ、ファッションとデジタルの相乗効果を模索する中でエアークローゼットに参画。同社でMDの統括や新規事業の立ち上げなどを経験し、19年4月にパークアンドポートを創業した。「デジタルの力でアパレル業界でも可能性は広がっているが、当社のメンバーには、店舗での新しい商品との偶発的な出会いや店頭でのコミュニケーションなど、“リアルでの出会い”が最上の購買体験だという思いがある。しかし、目に見えて感じるほどにリアル店舗の数は減り続けている。特に小規模な店舗は属人性や、組織体制の古さなどからなかなか新しいモノを見つけ、仕入れることができずに緩やかに衰退していくところも多い。将来的には大手企業が手掛けるショップや、地方の一番店しか残らないのではないかという危機感を感じていた。『ポルタス』はそういった小規模店を支援する“新しい問屋”のような存在として構想した」と創業の経緯を説明する。
「ポルタス」は初期段階では、仕入れる側の店舗は年商2500万円前後、卸す側のブランドは年間売り上げ2億円前後を対象としている。初回取引に関してはパークアンドポートが保証するため、店舗側は初めてのブランドを来店客に紹介してみて試すことがリスクフリーで可能だ。一方メーカーやブランド側は認知拡大や在庫を持っている商材の拡販、新商品のテストマーケティングができる。メーカー・ブランドには追加の業務は発生しないよう、店舗への商材の提案や配送管理、決済も同社が請け負う。「店舗は美容院やカフェとショップの併設店なども考えている。また、インフルエンサーが手掛けるD2C(Direct to Consumer)ブランドが増えているが、『ポルタス』がサービスとして浸透すれば、インフルエンサーが手掛けるセレクトショップなども増えるはずだ」と櫟山代表。
同サービスの今後について「まずは『ポルタス』を使った取引を通じて商流を抑える。その後、オウンドメディアなどを通じて商流を活性化させ、そこで得られるブランドや店舗、商圏、顧客の情報といったデータを全て活用することで、“ニューリテール”を実現したい。『ポルタス』を通じて従来の店舗型ではない、“自由形”のセレクトショップを作り上げ、小売業界のアップデートを促進していくつもりだ」。