大手SPA、セレクトショップ、専門店の2019年8月の売上高(既存店ベース)は、低温で不調だった7月から一転、各社夏物が売れて前年実績を上回ったという声が目立つ。月後半に気温が下がったことで、少しずつ秋物にも動きが出始めている。
ユニクロの国内既存店とECの合計売上高は、前年同月比9.9%増だった。「7月は雨続きだったので、夏物の消費が後ろ倒しになった。エアリズム、ブラトップ、『ユニクロ ユー(UNIQLO U)』”のTシャツ、感動パンツ、UVカットのパーカなど売れた」と広報担当者。8月後半になると、気温低下に伴い、「テレビCMも行っている『ユニクロ ユー』のカーブパンツや、今すぐ着られる薄手の長袖ブラウス」などの秋物が売れ始めたという。19年8月期通期の国内既存店とECの合計売上高は、前期比1.0%増。暖冬もあり、上期(18年9月~19年2月)の累計では前年同期比0.9%減と落としていたが、下期で盛り返した。通期の既存店売上高は、東日本大震災などがあって前期比6.0%減となった11年8月期以来、7年連続の前期実績超えとなった。
「無印良品」を運営する良品計画の直営既存店売上高は前年同月比12.0%増。「気温が上がった月前半はTシャツやポロシャツなどの夏物衣料が好調で全体売り上げをけん引した」と広報担当者。部門別売上高では、衣服・雑貨が26.1%増、食品11.2%増、生活雑貨2.7%増。後半は、「大雨などで地域によっては影響も出た」が、全体としては晩夏向けのシャツやワンピースが売れたという。
アダストリアの既存店売上高は5.5%増。基幹の「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ローリーズファーム(LOWRY’S FARM)」などで、ワンピース、Tシャツなどが売れた。好調ではあるが、同社の場合、8月8日から自社ECモール「ドットエスティ(.st)」がリニューアルに伴う不具合で休止しているのが惜しい。その影響を除くと、8月の既存店売上高は同12.9%増だった。復旧は「9月中」(広報担当者)の見込み。
ユナイテッドアローズ(UA)の小売りとECの既存店売上高は同12.2%増。昨年も8月は11.7%増と大きく伸ばしている。特に、「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(UNITED ARROWS GREEN LABEL RELAXING、以下GLR)」などを擁する第二事業本部が同24.2%増と好調で全体を押し上げた。「従来よりも細分化した8シーズンMDの導入を進め、改善を重ねてきたが、今春夏は第二事業本部で特に成果が出ている」と広報担当者。売れ筋は半袖ニットやワンピースなどだが、「10月からの消費増税を見越した動きなのか、高額ダウンアウターも動いている」という。
しまむらの主力である「ファッションセンターしまむら」の既存店売上高は同0.6%増。同1.4%増だった4月以来2ケタ減も含む前年割れが続いてきたのにはブレーキがかかったが、18年8月も同5.6%増と落としていたので、17年8月に対してだとほぼ横ばい。夏向けの機能素材の寝具や肌着が売れた他、インフルエンサーと協業した秋物で動きが出ているという。