イギリスのD2Cフットウエアブランド「オリバー・カベル(OLIVER CABELL)」は丸洗いできる再生プラスチック製のスニーカー“フェニックス(PHOENIX)”を自社のウェブサイトで発売した。1足のスニーカーの原材料は、ペットボトル7本強。チップにしたペットボトルから糸を紡ぎ、3Dプリンターで製造する。
「毎年3億トン以上のプラスチックが生まれ、うちリサイクルされているのはわずか9%。つまり世にあるプラスチックの大半は手つかずのままで放置されている。解決策は1つしかなく、本気でプラスチックを再利用することだ」と同ブランドは話す。
再生プラスチックから理想通りのフットウエアを作り出すことは容易ではない。「オリバー・カベル」と製造パートナーは、技術の特定と向上に2年を費やした。最終的に最も実行可能なソリューションとして3Dプリント技術にたどり着いたという。
「われわれのミッションは常にとてもシンプルだ。最高のデザイン、素材、そしてプロセスを最新技術と結び付け、社会的に意義のあるビジネスにつなげる。“フェニックス”はわれわれの創業からの理念の集大成だ」とスコット・ガブリエルソン(Scott Gabrielson)=オリバー・カベル創設者は語る。
“フェニックス”はプラスチック廃棄物由来の単一素材だけで作った「アディダス(ADIDAS)」の100%リサイクル可能なランニングシューズ“フューチャークラフト.ループ(FUTURECRAFT.LOOP)”に通じる商品だ。フットウエアの新時代を象徴するスニーカーにとってサステイナビリティーはセールスポイントだが、それでも履き心地は大事だ。ガブリエルソン創設者は「“フェニックス”にとってサステナビリティーはコアバリューだが、シューズ軽量で快適でなければ。製品化まで48足のサンプルを作り、柔らかさや伸縮性、構造の完璧なバランスを見出した。シューズは靴下なしでも履けて、吸湿発散性と柔らかさを兼ね備えた抗菌のライニングも用いている」という。
大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。