皆さん、こんにちは。パリコレ真っ最中ですが、ミラノコレ取材を終えて2週間遅れでロンドン・ファッション・ウイークの日記の続きを綴らせていただきます。ロンドンの天気は朝昼夜の寒暖差が激しく体調管理が大変でした。朝はコートを着る人を見かけるくらい寒いのに、昼には30度近くでTシャツでも汗ばみ、夜には10度に戻り冷え込みました。しかし、雨が降らないだけ幸運だったと思います。この日のバタバタ模様をお送りします。
11:00「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」プレゼンテーション
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会場は立体駐車場。スロープを上がっていくと真っ赤な迷路が用意されていました。今季の新作は郵便ポストをイメージしたコレクションということで、迷路をさまよいながら、さまざまな年代に送られた手紙の朗読を音声で聴くことができます。
印象に残ったのはエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)の熱心なファンたちが当時のアイゼンハワー(Eisenhower)米国大統領に送った手紙の音声です。徴兵令で軍隊に入るエルヴィスを心配してホワイトハウスに数千枚の手紙が届いたそう。その一枚には「どうか、エルヴィスの髪型だけは変えないであげて下さい!彼のもみあげを剃るなんてことをしたら、私たちはショック死します」という内容で、ファンの必死さが伝わってきました。
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迷路を出ると、ポストマンに扮したオールインワン姿のスタッフたちが出迎えてくれました。新作バッグのデザインとリンクさせたかわいい切手や手紙をかたどったクッキーなどのケータリングもかわいい。また筆記体の練習体験コーナーや郵便にまつわる雑貨コーナーもありました。テーブルには便箋と封筒が用意されており、どこへでも手紙を出していいということだったので、私も祖母に向けて一筆とってみました。
13:00「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」
「アニヤ・ハインドマーチ」でゆっくりし過ぎてしまい、「マーガレット・ハウエル」の会場に向かう車が先に出発してしまいました(苦笑)。結局バタバタしながら、会場を後にしてチューブ(地下鉄)に飛び乗り、猛ダッシュして到着。40分押しのスタートで間に合いましたが、走ってきたので汗が引かず、会場も空調が効いておらず蒸し風呂状態。みんな招待状をパタパタとうちわ代わりにして扇いで待っていました。
ショーのルックで気になったのは襟もと。この襟巻きトカゲのようなラッフルカラーはこの後もいろんなブランドで見かけました。セーターやカーディガンの下に着てもアクセントになります。ショーには今や日本を代表するメンズモデル、コウヘイも歩いていました。
14:00「ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)」
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会場は外務省。入口前には「XR ボイコットファッション」という団体のデモ隊の姿があり、プレートを持ってファッション・ウイークのシステムに反対運動を起こしていました。写真を撮られることや質問されることに前向き。話を聞いてみると、彼らは大量生産、大量消費のファッション産業に対して、スピーチを行う団体で、イギリスには彼ら以外にもファッション産業に対するデモ団体がいくつか存在しているそう。
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建物内には入ると、フロントローにはベッカム一家の姿がありました。子どもたちに「写真を撮ってもいい?」と聞くと、「もちろん!」と笑顔で返してくれました。パパのベッカムを探していると、デザイナーのキム・ジョーンズと一緒に立ち話をしていました。タイミングを見計ろうと少し待ってみたものの、ショーが始まりそうだったので、撮影を断念して席に着きました。
15:00~17:00「ハウス オブ ホランド」&「セルフ-ポートレイト」のパブリックショー
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2日目の一般公開のファッションショー“パブリックショー”の取材に来ました。今日のラインアップは「ハウス オブ ホランド」&「セルフ-ポートレイト」の2ブランドですが、昨日と打って変わって満席です!「ハウス オブ ホランド」のデザイナーのヘンリー・ホランド(Henry Holland)は英バラエティー番組にも登場しているのでお茶の間でもよく知られた存在ということもあり、マスの知名度も高いということでした。
フロントローのチケットを購入した来場者に話を聞いてみると、石油系の会社に務めるクロアチア出身イギリス・ブリストル在住の30代女性は「ファッションショーを生で見るのがずっと夢だった」といいます。一人で来場していましたが、すでに隣に座っていたお一人さまと仲良くなりファッショントークを楽しんでいました。日本でも同じ思いを持った人はたくさんいるんだろうなとしみじみ感じながら、テイストは異なりますが「東京ガールズコレクション」は先駆けてそのニーズに応えていたんだと思いました。会場内ではショーのコレクションが購入できるポップアップストアも開かれていました。
16:30「チャラヤン(CHALAYAN)」
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会場はバレエやコンテンポラリーダンスで有名なサドラーズウェルズ劇場。ロンドンの中心から離れていますが、「チャラヤン」は長年この会場でウィメンズのショーを続けているそうです。ファーストルックは顔が覆われたドレス。日本から着想を得ているそうですが、確かに折り紙的なテクニックが見て取れます。
18:00「シモーネ ロシャ(SIMONE ROCHA)」
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この会場も遥かに遠かった…。渋滞に巻き込まれながら50分ほど車に揺られ、少し車酔いしながら到着したのはアレクサンドラ・パレス。北ロンドンに位置するビクトリア朝様式の宮殿で展示場でした。丘の上に建てられていて、ロンドンの街を一望できる穴場スポットです。側の公園は家族やカップルで賑わっていました。
ショーは透け感のある花柄のオーガンジードレスにラフィアを編んだヘアアクセサリーなど異素材の組み合わせが素敵です。このウエアへのラフィア使いは今季のトレンドの一つです。キャスティングは、異なる人種の起用はもちろん、40~60代のマダムモデルたちも登場していたところにも共感が持てました。バックステージ取材を行ったELIE INOUEさんのリポートはこちらからご覧ください。
20:00「アシッシュ(ASHISH)」
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演奏者たちが床に座っていて、彼らが鳥の鳴き声や風の音など、自然が発する音を再現しながらショーがスタート。インドの伝統的な刺しゅうを施したワークジャケットやデニム、シャツなどの日常着が登場しました。キラキラと光るのは刺しゅうのミラーワーク。このミラーを一つ一つ縫い付ける工程を考えると気絶しそうになりますが(笑)、職人技の賜物ですね。