松屋の2019年3~8月期連結業績は、売上高が前年同期比0.2%増の448億円、営業利益が同31.3%減の3億8900万円、純利益が同39.5%減の2億6700万円だった。主力の百貨店事業では婦人服の苦戦は続いたものの、化粧品、ラグジュアリーがけん引。元安による中国客減で免税売上高は減少したが、国内客の集客策でカバーして、横ばいになった。一方、利益率の低いラグジュアリーブランドに売り上げ構成のシフトが進んだことや、固定資産税の引き上げや人件費など諸経費がかさんだことで減益となった。
松屋銀座本店の売上高は前年同期比1.2%増の380億円。免税売上高は同0.4%減だったが、免税を除く売上高は同1.4%増と伸びた。カテゴリー別では、化粧品は同10%増、特選婦人雑貨が同8%増だった。
婦人服は引き続きボリューム層の苦戦が続き、同3%減。3月に導入したファッションコンサルティングサービスは、4階の婦人プレタを中心に開始から約200人が利用。「コンサルティングを受けたお客さまの単価は、想定にはやや及ばないものの、非利用客よりも約1.5倍に伸びている」(帯刀保憲副社長)など一定の成果をみる。
松屋浅草店の売上高は、食料品の苦戦により売上高は1.7%減らして26億円。飲食の子会社は業務改善による販管費の圧縮が進み、赤字幅を縮小した。
20年2月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比1.6%増の940億円、営業利益が同14.0%増の21億円、純利益が同9.1%増の15億円で、期初予想を据え置いた。
免税売上高の失速は、インバウンド消費の潮目が変わったというよりも「外部環境の変化による一時的なもの」とみて、10月以降は化粧品、子ども服、宝飾売り場にQR決済を導入し、訪日客の買いやすい売り場を作りに注力する。一方、インバウンド消費の足踏みは国内客の取り込みでカバーする。20年2月期の免税を除く売上高は、前期比2~3%増を見込む。同社の創業150周年を迎える11月3日を核に、20年8月まで周年イベントを次々に打ち出し集客を図る。「この1年はお客さまにお買い物の楽しさを提供する、さまざまな“実験”の場にしたい」。