ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)が16日、大阪の阪急うめだ本店の9階ホールで二階堂ふみとトークイベントを開催した。これは1階コトコトステージ11で22日まで開く2019-20年秋冬コレクションをそろえたポップアップストアと、同店9階ギャラリーで28日まで開かれるステラの母リンダ・マッカートニー(Linda McCartney、1941~98年)の日本初の写真展のオープニングに合わせたもの。
「サステイナビリティーはセクシーに」
登壇したステラは「こんにちは」と日本語であいさつし、まず「台風で大変多くの方が被災して心を痛めております。ヨーロッパから愛を送ります」と語り、トークショーではステラがなぜ責任のあるファッションの重要性や、サステイナビリティーに取り組むことになったのか、幼少期にオーガニック農場で“変化を起こすこと”を重視していた両親の下で動物とともに季節の移り変わりを感じながら育ったこと、7歳のころにはファッション業界で働こうと決めていたこと、そして、自分のポリシー(動物愛護)と革や毛皮を用いるファッション業界の通例とが対極にあったというエピソードなどを交えて話した。
「私たちはいろんな現実に直面している。それは誰も地球の環境を悪くしようと思っていたわけではなく、よりよくしようと思ってこれまで取り組んできた結果、今がある。子どもたちの将来を考えたときに、何かアクションを起こさなきゃいけないときに来ている。ファッション業界はこれまでずっと変わらずにいた。そして環境負荷が大きい産業でもある。今こそチャレンジが必要なとき。クリエイティブな挑戦であり、私はビジネスウーマンでもあり4人の子どもの母親でもある。倫理観を持って新しい方法でよりよいモノ作りをしていくことが大切だと思う。今、サステイナビリティーはトレンディーな会話になっているけれど、そこで終わらせずに持続しなければいけない。私は、サステイナビリティーは楽しくセクシーに、そしてクールでファッショナブルに、それが当たり前になることが重要だと思っている。今あるものの代わりになるものを作って、クリエイティブな解決策を提案したいし、それがとても重要だと思っている」。
加えて、「通訳を通すことで深刻に聞こえているのかも。シリアスになりがちなテーマだからか、ほら、みんなの眉間にしわが寄っちゃってる。今あるものと違うものを作ることを楽しい方法でやっていきたいと思っているわ。それをセクシーにラグジュアリーに表現することこそが、唯一変化を起こせることだと思っている」とステラらしいユーモアを交えながら語ると会場の雰囲気が和んだ。
「ステラに影響を受け続けている」
一方、二階堂ふみは動物愛護の視点を持つようになってステラに興味を持ったという。少し緊張気味に、丁寧に語る姿が印象的で、「“ファーフリーファー”やレザーを使わない『ステラ』の商品は心から気持ちよく持てるし、それが『ステラ』の魅力でもある。私は『ステラ』の服を着ることで影響を受け続けている」と話す。
また、サステイナビリティーが日本でトレンドになっているかと尋ねられると、「きっと徐々になっているところ。気づいている方は多いと思う。自分の生活とどれだけ密接かをわれわれは知らなければいけない。海外に行くと、当たり前のように商品には認証マークが付いたモノが売られていて、日本は意識が高い人しか見ていないけど、そこに対して世代を超えて話し合える環境になることが必要なのでは」と語った。
サステイナビリティーの先導者であるステラの来店は、阪急うめだ本店が16日から行っているサステイナブルブランドの取り組みやアイテムを紹介するフェア「グッド フォー ザ フューチャー」の一環で、同店が今後もサステイナビリティーに力を入れていくという意志の表れでもある。
トークショーの観覧チケットは事前にインターネットで応募を受け付けたというが、募集開始から9分で定員に達するなど、注目が集まっていた。約400人が詰めかけた会場には若い世代の姿が目立ち、その関心の高さがうかがえた。
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来店した、ある母娘は上京して暮らす娘がステラのファンで、トークショーのためにとんぼ返りで参加したという。娘さんは、今回のポップアップストアの目玉商品である「アディダス(ADIDAS)」とコラボレーションしたベジタリアンレザーの“ステラ#スタンスミス”に、ステラ・マッカートニーとスタン・スミス(Stan Smith)の直筆サインを入れたモデルを購入してトークショーに臨んだ。
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“サステイナブル”をテーマにした「ステラ マッカートニー」のポップアップストアには開店前に約50人が列を作り、その後も行列が絶えなかった。特に“ステラ#スタンスミス”はメンズサイズから売り切れとなり、用意された半分以上が13時の時点で完売。そのほか、先行発売した人工ファーの“ファーフリーファー”を用いたアイコンバッグ“ファラベラ”が人気を集めた。
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リンダ・マッカートニーの写真展は、ドイツの出版社タッシェン(TASCHEN)から「リンダ・マッカートニー:ザ ポラロイド ダイアリーズ」が9月に刊行されたことを記念したもので、約250点のポラロイド写真を展示。ステラはトークショーで写真集と展示についても触れ、「出来上がった本を初めて見たときとてもエモーショナルな気分になった。とてもパーソナルな瞬間をとらえていたから。動物や家族に対する温かみや愛情を感じてもらえると思う」と語った。
展覧会場には、ミュージシャンや料理研究家、写真家として活躍したリンダの実験的な視点や色彩感覚を映像で見ることができるスペースや、写真展の世界観を体験できるフォトブースなども設けられており、多角的な展示から、動物愛護の思想を持つステラ・マッカートニーの生き方の原点をも感じることができる。
なお、阪急うめだ本店のコンコースの7カ所のウインドーも「ステラ マッカートニー」に染まっている。