世界で最も影響力があるといわれるファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION、以下PV)が9月17~19日に開催された。今回大きく打ち出したのは“環境への責任”だ。48カ国2056社が2020-21年秋冬向けのテキスタイルを中心に糸、レザー、資材、図案などを提案した。テキスタイルのイチ押しはコーデュロイ、柄はチェックだ。
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構築的なテーラリングに移行、快適さを備えることがポイントに
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ファッショントレンドがフェミニン傾向へ、ビッグシルエットからコンパクトシルエットに移行しているが、次の秋冬シーズンはコンパクトなシルエットのテーラリングに注目が集まりそうだ。その素材は硬すぎず柔らか過ぎず、快適性も備えるもの。例えばカシミヤのウール地を加工して張りを出したり、伸縮性のある“段ボールニット”素材だったり。テーラリング素材、ポンチニット系、フェルト素材、中肉高密度ストレッチなど幅広く並んだ。
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地表や皮膚を想起させる凹凸感のあるニュースキン
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2020年春夏向けでもしぼしぼとしたシアサッカー調は注目を集めていたが、テクスチャーを楽しむ流れはさらに広がる。楊柳、シアサッカー調、細かな凹凸感の表層、膨れジャカード、プリーツ、キルティングなど表情豊かな素材がそろう。特に地表や動物の皮膚をイメージさせるような色とテクスチャーが多い。
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ミステリアスな光沢とダークさは不安の表れ
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「不安を受け入れなければならない」――パスカリーヌ・ウィルヘルム(Pascaline Wilhelm)=PVファッションディレクターが語った言葉だ。その不安を表現したようなダークカラーやミステリアスな光沢の素材が目立った。シャンブレー、マーブル、レザーライクのぬめっとした艶感、濃い色のラメ光沢、イレギュラーな彩度の花柄、パイソン柄などがそろう。
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イチ押しはコーデュロイ光沢感と流麗感が鍵
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秋冬の定番素材であるコーデュロイやベルベット、フリース風やスエードタッチは、今シーズンは縦ラインのコーデュロイに注目だ。ベルベットもコーデュロイ風の縦ラインのものが多くそろった。いずれもゴワゴワっとした触感ではなく、ビスコース100%やシルク混など滑らかなタッチのものが多い。光沢感と流麗感がポイントで、スカートやドレスを仕立てるのによさそうだ。
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柄の大本命は再びチェック
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この数シーズン続くチェック人気はまだまだ続きそうだ。正直既視感はあるものの、特に落ち着いたカラーパレットで描く少しやぼったいチェック柄が多く、ノスタルジックなスタイルが増えそうだ。またチェック組織に見えるリップストップに注目したい。ますます曖昧になるスポーツウエアと日常着、いずれの表現にも一役買いそうな素材である。
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自己表現のための目立つ装飾
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PVでエコと並んでキーワードに挙がったのが“エゴ”だ。近年、政治も企業も個人においても自己愛を強く感じることが多いが、そうした時代を反映するかのような素材が並んだ。テキスタイルでいうと、手の込んだ強いデザインのもの、少量生産前提の特別なアイテムのためのものなど。カットジャーカード、フリンジ、ファージャカード、人物などを描いた強い柄、コントラストが強めのリバーシブル素材などだ。
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昔のインテリア装飾のようなクラシックな柄が新鮮
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柄の本命は王道のチェックだが、ぜひ注目したいのが、昔インテリア装飾で用いられていたようなオーナメント柄、ダマスク柄、オリエンタル柄、パッチワーク柄、小花柄といったクラシックな柄だ。暗めのトーンで構成された柄が多く、シャツやワンピース、スカートなどで取り入れていきたい。