“クラシックなスポーツウエアの再考”は、2020年春夏シーズンの重要なキーワードだ。キーアイテムは数え切れないほどのランウエイに登場したデニム。そのスタイルは、スタンダードなラインから「バルマン(BALMAIN)」のカラフルなスーツ、「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のパワーショルダー、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」の斜めにストライプが走ったジーンズまでさまざまだ。
また、白のタンクトップも注目を集めた。「パイヤー モス(PYER MOSS)」のカービー・ジャン・レイモンド(Kerby Jean-Raymond)は再利用のポリエステルを使い、タンクトップをジャンプスーツとして再生。一方、オートクチュール・デザイナーのクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)をゲストに迎えた「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」はタンクトップをコレクションのベースとし、スエットシャツやパーカを製作した。「マイケル コース(MICHAEL KORS)」では、赤、白、青の3色のプルオーバーや“HATE”の文字に取り消し線を引いたセーターなどが見られた。
そして、20年春夏コレクションの中でひねりの利いたクラシックをうまく表現していたブランドといえば、今年の第6回「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のファイナリストに選ばれた「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナーだろう。胸元の大きく開いたブレザーやシャツなど、ちょっとした発想の転換によってユニークなコレクションを作り上げていた。