経営破綻した米バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK以下、バーニーズ)の売却先を決定する審問が10月31日(現地時間、以下同様)にニューヨークの破産裁判所で開かれ、かねてより有力視されていた米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)の買収案が承認された。
バーニーズの買収に関しては、10月18日にABGが2億7140万ドル(約293億円)での入札を提示しており、そのまま決定する可能性が高いと見られていた。しかし、10月24日にニューヨークのセレクトショップ「キス(KITH)」への投資で知られるサム・ベン・アブラハム(Sam Ben-Avraham)がおよそ2億6000万ドル(約280億円)での入札を提示したため、最終的な判断は破産裁判所の判断に委ねられていた。今回承認された買収案は11月1日午前10時に有効となるため、それまでによりよい案が提出されなければABGが正式な買収者となる。
その場合、今後はABGの買収案に基づいて再建策が進められていくことになるが、同社は主にバーニーズのオンラインビジネスと知的財産権に関心があると見られている。買収後はカナダの小売り大手ハドソンズ・ベイ(HUDSONS BAY)とライセンス契約を結び、その傘下であるサックス・フィフス・アヴェニュー(SAKS FIFTH AVENUE)の店舗にバーニーズのインショップを構えたい考えだ。米紙「ウォールストリート・ジャーナル(THE WALL STREET JOURNAL)」によれば、ABGはバーニーズのニューヨークとロサンゼルスの旗艦店を含む5店舗や流通センターを閉鎖し、従業員約2000人も解雇する方針だという。
バーニーズは、「ニューヨーク破産裁判所は本日、ABGの買収案を承認した。しかし、11月1日午前10時までこれは有効にならず、まだ入札する時間があることを忘れないでほしい。ここ数カ月にわたり、当社はバーニーズの価値を最大限に評価してもらうべく破産裁判所、金融機関、債権団と熱心に協議してきた。バーニーズの従業員、デザイナー、取引先、そして顧客にとって最善の道を探るべく引き続き努力していきたい」と声明を発表した。