マッシュホールディングス(HD)の2019年8月期は売上高が前年同期比11.8%増の787億円、営業利益が0.4%増だった。
国内事業は、売上高が同16.9%増、営業利益が同16.3%増と2ケタの増収増益で好調だった。売上構成比の7割を占めるファッション事業は、基幹ブランドがけん引した。ブランド別では、「フレイ アイディー(FRAY I.D)」が同18.6%増(既存店売上高は同7.2%増)、「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」は同23.3%増(既存店は同8.5%増)と大きく伸長。「価格とモノのバランスをコツコツ高めてきたことに加え、独自性のある色彩が際立っていた」と近藤広幸社長。2期目の「セルフォード(CELFORD)」も今期は9店出店したことにより、15店体制となった。売上高は4倍以上となり、既存店も同10%増。「スナイデル(SNIDEL)」は昨秋からリブランディングによるエイジレス化を進めており、同5.8%の増収(既存店で同4.6%)と一定の手応えを得た。
ビューティ事業は、「(ファッション事業に)輪をかけて大成功だった」と近藤社長が話すように、主力のセレクト業態「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」の売上高が同21%増(既存店は同17%増)「ビープル バイ コスメキッチン(BIOPLE BY COSMEKITCHEN)」が同25.6%増(既存的が同11.9%増)といずれも2ケタ増収。オリジナルブランドが営業利益に貢献した。
「セルヴォーク(CELVOKE)」の売上高は同178.5%増、「トーン(TO/ONE)」が同445.5%増と大きく伸ばし、「トーン」を核にした(メイクアップキッチン」も同5倍近い増収(既存店で同2.3倍)だった。
海外事業は稼ぎ頭の中国本土事業が景気停滞のあおりを受けたものの、大幅黒字は維持。「(景気の)風向きが代わる時を万全の体制で虎視眈々と待ち受けたい」との構え。稼いだキャッシュは米国、シンガポール事業の投資に充てている。一方でデモの影響を受けている香港、台湾は改善が見通せず、「何かしらのメス入れが必要」との考えを示した。
EC事業では自社の「ウサギオンライン(USAGI ONLINE)」の売上高が同1.2%増とやや伸び悩んだものの「(18年8月に開設した)ブランド別の直営ECに流れたためで、問題視はしていない」という。
20年8月期は売上高が前期比5.5%増の830億円、営業利益は同7.6%増を見込む。ファッション事業に関しては「毎期、2倍に成長をさせる気概で臨んでいる。もっと売り上げをとっていきたい」と貪欲な姿勢を示す。「課題はマーケティング。お客さまの半歩先のクリエイションにこだわるだけでなく、たとえば定番商品のような、ブランドがすでに持っている武器を改めて見直し磨くことにも力を入れていく」。
ビューティ事業は「セルヴォーク」「メイクアップキッチン」を中心に出店を推し進めるとともに、「新ブランドや商品の開発には投資は全く惜しまない」。現在143億円の売上は、「3年以内に2倍、近い将来500億円までもっていきたい」という。