大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。
今日のニュース:P.3「サステナビリティなしに未来はない」
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読み解きポイント:サステナビリティへの取り組みは「目指す状況を保ち続けられるか」
ニュースのポイント
2020年春夏ファッションウイークの一番の話題は、「サステナビリティ(持続可能性)」だった。ケリング(KERING)、LVMHモエ ヘネシー ルイ・ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)というコングロマリットから若手デザイナーまで、本気の姿勢を示している。行動に移す個人や企業が多いのは、「ESG投資(Environment、Social、Governance)」など、高まる外圧にビジネスが影響を受けるケースが増えているのではないか。サステナビリティへの取り組みについて、最大の課題は「知らないこと」。事業を本気で残したいと思うなら、今すぐアクションを起こす以外に道はない。
CKRはこう読む!
最近、「サステナブルである」と語られるニュースを多く見かけます。言葉だけが一人歩きをして「企業内のチェックプロセスでしかないのでは?」「実現したいビジョンからかけ離れているのでは?」と感じる話もあります。
サステナビリティへの取り組みで重要なのは、「人に気づきを与え、多くを巻き込む形で、目指す状況を保ち続ける」ということではないでしょうか。「WWDジャパン」には今後も、「気づきや行動のきっかけとなる記事」を届けていただくことを期待しています。
「なるほど!」と思う企業の活動には、「じっくり取り組む姿勢がある」「自分も関われる」と思える要素が含まれていることが多いです。3年先、5年先の姿を想像でき、自分にもできることがあると思える話には心を奪われます。
「都市鉱山から作る、みんなのメダルプロジェクト」。聞いたことがある方も多いと思います。東京2020オリンピック・パラリンピックのメダルを、回収した古い携帯電話やパソコンから採取した金銀銅で作るというプロジェクトです。金銀銅合わせて約5000個のメダルに必要な金属量の回収は、2017年4月から2年間の活動で達成しました。最終的には「1621自治体(全国自治体の約90%)」がプロジェクトに参加し、NTTドコモにより回収された携帯電話の数は、約621万台。多くの方を巻き込んだ活動であることが分かります。来年のオリンピック・パラリンピック開催時、プロジェクトの活動は世界中に報道され、目にするでしょう。その際、回収に携わった人、古い携帯電話を預けた人は、参加者の一人として改めてサステナビリティについて考えるかもしれません。また、他の国で活動を初めて知った人は、そこから行動を起こす可能性もあります。
誰もが毎日触れる服を扱うファッション業界だからこそ、社会的課題とリンクさせることで、多くの人に気づきを与え、巻き込むことができるのではないでしょうか。
CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中