米ギャップ(GAP)のアート・ペック(Art Peck)社長兼最高経営責任者(CEO)が11月7日に退任した。後任には、同日付でロバート・フィッシャー(Robert Fisher)会長(非常勤)が暫定的に就任。ペック前社長兼CEOは短い引き継ぎ期間を経て同社を離れるという。
フィッシャー会長兼社長兼CEOは、「15年間にわたってギャップに多大なる貢献をしてくれたアートに対して、取締役会を代表して心から感謝する。アートのリーダーシップの下、オムニチャネルやデジタル分野の強化など、将来的な成長に不可欠な事業への投資を進めることができた」とその労をねぎらった。
ペック前社長兼CEOは米コンサルタント会社ボストン・コンサルティング(BOSTON CONSULTING)の出身で、2005年にギャップに入社。北米事業やデジタル部門の要職を経て、15年にCEOに就任した。
同社の主力ブランドである「ギャップ」は業績不振が続いており、今後2年間で北米を中心におよそ230店を閉じることを2月に発表していた。同時に、比較的好調な「オールドネイビー(OLD NAVY)」を上場会社として独立させ、「ギャップ」とその他の傘下ブランドの「アスレタ(ATHLETA)」や「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」などを擁する新たな上場会社を設立するという大胆な事業再編計画を発表した。「オールドネイビー」の新会社は引き続きソニア・シンガル(Sonia Syngal)=オールドネイビー社長兼CEOが率いて、「ギャップ」など複数ブランドを展開する新会社のトップにはペック前社長兼CEOが就任するはずだった。これらの計画は20年に実施される予定だが、ペック前社長兼CEOが同社を離れることが発表されたため、実現を危ぶむ声もあるという。この日、同社株価は時間外取引で前日終値からおよそ7%下落した。
ギャップの19年8~10月期決算は11月21日に発表される予定だが、ペック前社長兼CEOの退任発表と同日に見通しを発表した。それによれば、売上高は既存店ベースで前年同期比4%減と減収となっている。ブランド別では、「ギャップ」が同7%減、「バナナ・リパブリック」が同3%減、「オールドネイビー」が同4%減だった。