フランスの老舗シューズブランド「ジェイエムウエストン(J.M. WESTON)」は2017年から、若き職人の支援を目的に日仏間のインターンシップに取り組んでいる。今年も日本から2人、フランスからも2人の若き職人が参加した。
日本からの2人(うち1人は、体調不良により途中帰国)は「ジェイエムウエストン」の古里フランスのリモージュへ。フランスの2人は来日し、「スコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)」を手掛けるヒロカワ製靴と、ビスポーク職人の福田洋平のアトリエで、量産と一点モノという異なる性格を有する靴づくりを学んだ。
交換留学プログラムを修了したのは、フランスに渡ったリー・センファ(LeeSenghuat)と、来日したジュスティーヌ・ギネスト(Justine Gineste)とララ・センリー(Lara Cenry)の3人。いずれも23〜30歳という、未来ある若者だ。3人に交換留学の感想を聞いた。
ララ・センリー
「日本の職人は、働きすぎよ!!」
最初は日本に行こうなんて思ってなかったけれど、交換留学は大きなチャンスだと思ったの。言葉の壁は高い。けれど皆、親切に教えてくれるし、靴作りへのパッションは共通だからから続けられた。フランスでは、シューズのデザインを手掛けていたから、ヒロカワ製靴のような工場で働くのは新鮮で、正直、イロイロびっくりした。でも、1日になんども同じ作業を繰り返すと、手が仕事を覚えてくれた。
スピードは、日本の方が早いのに丁寧。同じグッドイヤー製法でも、フランスは正直適当な部分が多い。でも、日本でのONは丁寧すぎて時間がかかりすぎているかもしれない。そもそも日本の職人は、働きすぎ。いつも笑顔なのは、素敵だけどね(笑)。
ジュスティーヌ・ギネスト
「素敵な乗馬ブーツを作りたい」
福田さんのアトリエで作ったのは、靴に秋の花が咲き乱れる“フラワーシューズ”。個々のテクニックは知っていたけれど、日本人の作業は本当に丁寧。ゆっくり時間をかけて靴を作ることで、別の価値が生まれることを学んだ。
こうやって一足一足靴を生み出して行くとしたら、今、私に必要なのはフィニッシングのテクニックかな?将来は、自分のブランドを立ち上げたい。素敵な乗馬ブーツを作るのが夢なの。
リー・センファ
「形あるものを生み出したくて
靴の世界に飛び込んだ」
IT企業から靴作りの世界に飛び込んだ。形のないモノを扱い続けていたら、形あるものを生み出したくなったのが一番の理由。今年30歳と決して若くないけれど、念願叶って、来年には日本の靴企業で働き始めることが決まってワクワクしている。
リモージュでは、特別に渡仏前に靴作りを学んでいたイタリアのレザーを使って、ローファーを作らせてもらった。手の脂もシミになってしまいそうな繊細なレザーだから、このローファーは履けない観賞用(笑)。そんなレザーを使って靴を作らせてくれたことに感謝しているし、いつもと異なるレザーでも美しいローファーに仕上がるブランドの技術力に感心した。