ファッション

お仕事バッグの譲れないポイント バッグ担当が語る2020年春夏に欲しいバッグ

 「WWDジャパン」11月18日号は、毎シーズン恒例の「2020年春夏バッグ&シューズ」特集です。2020年春夏シーズンのコレクション取材から見えてきたトレンドに焦点を当て、新作アイテムのキーワード別で解説するほか、有力バイヤーのイチ押しブランドを紹介しています。最新のバッグ&シューズトレンドについては紙面をご確認いただきたいですが、ウェブでは同特集の担当者2人による編集後記としてこぼれ話をお送りします。2人が気になったアイテムや理想の仕事バッグについて語ります。

対談の登場人物

藪野淳:ドイツ・ベルリン在住のファッションジャーナリスト。17年まで「WWDジャパン」編集部でデザイナーズブランドやバッグブランドの取材を担当。その後も継続してバッグ&シューズ特集の制作に携わっている。無類のバッグ好きで、メンズ・ウィメンズ問わずさまざまなアイテムを愛用

大杉真心:「WWDジャパン」記者。これまで婦人服やデザイナーズブランドを中心に取材をしてきたが、20年春夏シーズンからバッグ&シューズ担当となる。入社前はバッグを主力にするセレクトショップで働いた経験あり

トレンドを兼ね備えたお仕事バッグを発見!

大杉:特集ではトレンドにフォーカスしましたが、藪野さんは取材を通してリアルにお仕事でも使えそうなバッグはありましたか?見た目はかわいいけど実用的なバッグはあまり見つからないですよね。

藪野:今回はミラノとパリを取材して印象的だったのは、クラッチとバケツバッグの復活。個人的に一番欲しいと思ったのは「ロエベ(LOEWE)」の新作“バルーン”でした。ただ仕事用となると、A4サイズの紙やMacBook が入ったり、上部が閉じられるようになっていたりという要素が欲しくなりますよね。大杉さんは、お仕事バッグで譲れないポイントあります?

大杉:記者の仕事柄、展示会や内覧会を取材するときはノートとペン、カメラを持って歩き回るため、両手があくバッグを重視しています。藪野さんと一緒で、A4サイズの資料やノートPCも持ち歩くため、マチがあって、軽くて耐久性があるものが理想ですね。今季はホーボーバッグも一部ブランドで出ていて、特に「クロエ(CHLOE)」のストラップの長さを調節できる新作バッグ”ダリル”はクロスボディーとしても使用できそうで、気になりました。

藪野:確かに肩に掛けられたり、クロスボディーで持てたりするのは大事ですね。「クロエ」の新作は、サイドに編み込みのようなディテールが施されていて、トレンド感もありました。大杉さんのニーズだと、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のショーに登場したビデオカセットテープのグラフィックが可愛いモノグラムトートや、「ピエール アルディ(PIERRE HARDY)」の長さの違うハンドルとドローストリングが付いたレザートートもいいかもしれません。

旅行バッグとして重視する点は?

大杉:かわいいですね!ほかにも「ディオール(DIOR)」の“ブックトート”が火付け役となり、シンプルな形のビッグトートが増えていたのも今季注目したい点でした。たくさん物が入りそうで旅行や通勤バッグとしても活躍しそうです。藪野さんはドイツ在住でヨーロッパ中を旅する機会が多いと思いますが、旅行バッグで重視したい点はありますか?

藪野:トートはトレンドというよりもはや定番になったけれど、これまで多かった柔らかなレザータイプに対して、「ディオール」の“ブックトート”は新たなトートのスタイルを提案しましたよね。今シーズンは、コレクションのムードに合ったガーデニングバッグも出ていましたが、メンズにも人気が出そうだなと感じました。軽さという意味では、やはりキャンバスやナイロンなどの素材が有利。特に旅行のとき、僕は荷物が大量なので(苦笑)。ただ、旅行にしても仕事用にしても、海外でオープントップのアイテムを使うのはちょっと不安。なので、上にファスナーやボタンなどが付いているものを選んでいます。

大杉:口の開いたバッグは盗難に遭いやすかったり、荷物棚から取り出そうとしたときに中身が溢れ出てしまったりと海外では何かと危険ですよね。私は2度スリに遭った経験があるので、セキュリティー面から開きにくいバッグをあえて選んでいたこともありました。結局、使い勝手の悪さから出番が少なくなってしまうのですが……。その点ファスナーはないけれど、持つときに中身が見えない構造になっている「MM6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)」の定番トート”ジャパニーズ”はお仕事バッグにも、旅行時にもおすすめです。

藪野:今シーズンのトレンドに挙げたバケツバッグもオープントップのデザインが非常に多かったですが、実際にはバッグインバッグや巾着が必要になると思うし、お店ではバッグと合わせて提案するのがいいのでは?と感じました。コレクション中、大杉さんも「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」のバケツバッグを使っていましたが、中に何個も巾着を入れていたよね(笑)。

大杉:見られていましたか(笑)。シューズや革小物を購入したときに付いてくる巾着を再利用して、財布やパスポート、化粧品など分けるのに便利で使っています。日本でも今フェイクファーやボアなどの巾着バッグがヒット中ですが、20年春夏に「エトロ(ETRO)」などが提案するビーズ刺しゅう入りの巾着バッグもステキでした。バッグインバッグとして仕事バッグに忍ばせて、いざという時にはパーティーにも活躍しそうです。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

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