ワコールホールディングス(HD)は12月9日、京都市内のホテルで新中期経営計画を達成するためのワコール(WACOAL)が掲げるコミュニケーションのスローガン「ミート・ユア・ジャスト(MEET YOUR JUST.)」の発表を行った。同スローガンは、「ワコール(WACOAL)」は各消費者の“ジャスト=ぴったり”を提供するブランドで、それに出合える場所という意味で、顧客と‟深く、広く、長く”つながるためのものだ。ワコールHDは今年設立70周年。発表会で、安原弘展ワコールHD社長は、70年間の同社の歩みを返るとともに、チャネルのシームレス化や消費者の価値観の多様化が進む今こそが、オムニチャネルを加速する転機だと述べた。
ワコールは今年5月に3Dスキャナーによる計測とAI接客新サービス“3D スマート&トライ”の店舗を東急プラザ表参道原宿に出店した。5月末~11月末まで、同店舗における累計測者数は約6500人で購入率は30%。そのうち、新顧客は60%と新客獲得に成功。年代別構成比は約60%が20~34歳だった。この店舗は“販売”というよりは“体験”を提供する目的で出店。予想以上に反響があり、同店舗でのコンサルティングサービスは顧客の満足度につながっている。また、同店で計測後、他店舗やECサイトでの購入へも波及している。現在は国内の松屋銀座本店など4店舗で同サービスを提供しており、今後も導入を加速していく。
伊東知康ワコール社長は、「新中期経営計画(新3ヵ年)のテーマを“再成長”と“収益力の向上”で、それを実現するためにコミュニケーション施策の『ミート・ユア・ジャスト』をスタートし、リアル店舗およびECを連動させて商品およびサービス両軸で顧客一人一人とコミュニケーションを取っていきたい」と語った。
ワコールは来年、きれいなバストラインをキープできるボディケアの新商品“バストケア・ブラ”をはじめ、自分らしく美しくありたい消費者に向けたボディケアの商材を発売する予定だ。「『ワコール』ではあらゆるタイプの消費者に合う幅広い商品数を展開しており、約3000人のビューティーアドバイザーが、きめ細かいサービスを提供している。デジタルによる革新はもちろんだが、消費者の視点で新たな成長ステージへ進むときだ」と伊東社長。
3Dスキャナーによるデータの活用に関しては、小売りや医療などさまざまな業種から問い合わせがあり、今後、これら異業種とどのような取り組みができるか模索中だという。