世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、シンガポールなど、7都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。
中国由来の東洋医学を根源とし、長い歴史を経て独自に発達した韓国の韓医学。1952年の「国民医療法」にて免許制が施行されてからは、韓医者は西洋医学医と同じく国家資格を有する医者として国民の健康を守ってきた。それから幾度かの法改正を経て、2000年には「漢方医専門医制度」が施行され、現在に至るまで大きな医療産業として拡大し続けている。(この記事はWWDビューティ2019年12月12日号からの抜粋です)
「2018年韓医学産業実態調査」(19年2月韓国韓医学研究院発表)によると、17年の韓方医の数は2万4560人で史上最多を記録。また、韓医学産業の売上高は9兆4282億ウォン(約8630億円)で、前回調査の15年から1兆2238億ウォン(約1117億円、14.9%増)拡大した。その後押しをしているのが、保険業に分類される韓方病院・韓医院での診療だ。病院での治療は韓方薬の処方や鍼灸療法、薬鍼が主で、予防医学に基づく体質医学や疾患治療の内科、神経精神科、不妊治療などの女性医学などに分科されている。しかし現代病が増えるにつれ、韓医学の診療項目も多様化している。その一つが肥満治療だ。では、韓方におけるダイエット治療は、どのような方法で行われるのだろうか。
「基本的な治療としては、問診、脈診、腹診後、患者の体質に合わせた韓薬を処方します。韓薬は食欲抑制、宿便排出、基礎代謝量増加、体温上昇、また韓医学的な考え方に基づく血巡りなどを良くする効果があります」とジョン・ヒョンジェ自任堂韓医院代表院長は話す。従来の韓薬は生薬を煎じた液体を飲むドリンクタイプのものが多いが、同院では現代人のライフスタイルに合わせて携帯しやすい丸薬タイプの韓薬「空肥丸」を開発した。韓方独特の苦味がなく、飲みやすいため続けやすく、累計で450万包を販売する異例の大ヒットとなっている。ジョン院長は、「ダイエット治療は患者層が若く、液体の煎じ薬に抵抗がある人が多かったので、濃縮丸薬の研究・開発を進めました。煎じた生薬を60ブリックスまで濃縮還元し有効成分を確保しながら、もち米や小麦粉由来の賦形剤も小さくし、丸薬の軽量・最小化に成功しました」とヒットの要因を分析する。
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