動植物のモチーフや華やかな装飾を盛り込んだジェンダーレスなスタイルで一時代を築いたアレッサンドロ・ミケーレによる「グッチ(GUCCI)」だが、2020年春夏コレクションは一転。装飾を抑えるとともに、ランジェリーのようなディテールや深いスリットなど“いわゆるセクシーな美しさ”を取り入れたウエアを披露した。そこに合わせたアクセサリーも、金具など装飾が控えめになった19-20年秋冬シーズンからの流れを踏襲。リップスティックホルダー付きの手袋やミニバッグ、ラテックスのグローブ、レザーケース入りの扇子、乗馬用のムチなどのアクセサリーはフェティッシュなムードを醸し出すが、バッグとシューズはコーディネートに取り入れやすそうなアイテムがそろう。
バッグとシューズ共通のポイントとなるのは、ホースビットモチーフのきゃしゃなメタルパーツだ。バッグは、20年クルーズ・コレクションでフラップ型ショルダーバッグなどがデビューした“グッチ 1955 ホースビット”シリーズに、ブガッティスタイルのハンドバッグ(3サイズ展開)やバックパック、大きなトラベルバッグが仲間入り。ハンドバッグは、スムースレザーやポルカドット柄のプリントレザー、エキゾチックスキン、キャンバスなどバリエーション豊富で、中には今季のキーメッセージである“Gucci Orgasmique”をあしらったモデルもある。また、同ショルダーバッグには、赤、緑、青のストライプ柄ベルベットでクラシックな雰囲気に仕上げたデザインが新登場。その他、“ディオニュソス”や“グッチ ズゥミ”などの既存モデルは、幾何学柄のエキゾチックスキンなどでアップデートした。
足元は、特にかかと部分を折り込んでスリッパスタイルでも履けるポインテッドトーのシューズに注目。フラットソールでありながらデザイン性も高く、大ヒットしたファーライニングのスリッパ“プリンスタウン”に続くオシャレかつ快適なシューズとして人気を集めそうだ。また、ストラップサンダルやローファーパンプス、キューバンヒールのブーツなどにも、ホースビットがあしらわれている。スニーカーの新作は、左右で色の異なるデザインで提案。鮮やかな色のスエードやミラーのようなヒールを用いたプラットフォーム×チャンキーヒールのブーツも目を引く。
JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。