2020年代が幕を開けた今、10年代を振り返り表すと“混沌”だと思う。日本にとっての10年代は実質11年3月11日に始まり、その後の価値観の変化は恐ろしく速かった。そして19年は混沌が極まり、昭和から平成にかけての価値観が「ついに崩れた」と実感した人が多かったのではないだろうか。年長者たちからすれば築き上げたものが足元から崩れるような感覚を覚えただろう。一方で生まれてからずっと経済が横ばいで不透明な未来を抱えているからこそなのか、若い世代は上の世代よりたくましい。
「WWDジャパン」はファッション業界紙であり、業界の発展に寄与することを使命としている。手に取った人が新たな気付きを得られるコンテンツを紙・デジタル・イベントを問わず提供したいと思っている。だが最近ふと思う。そもそもファッション業界とはどこを指すのだろうか? 業界が発展するとは?10年代半ばから頭をもたげたこの問いが、昨年は頻繁に頭を過ぎった。(この記事はWWDジャパン2020年1月6日号からの抜粋です)
川上、川中、川下。ファッション業界は川の流れに例えてこんなふうに区分されてきた。言い換えると繊維、アパレル、小売りであり、10年前ならそれぞれの業界団体の集まりに出席すればプレーヤーが一堂にそろい全貌やすう勢がつかめたものだ。しかし今はこの区分の際が曖昧なだけではなく、これらのどこにも属さずにファッションを売り買いする市場やプレーヤーが存在している。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。