世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、シンガポールなど、7都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。
モスクワでは毎週土曜日の朝9時からいくつかの公園で“パークラン”というスポーツイベントが開催されている。誰でも自由に無料で参加することができ、5kmのコースを各自のペースで進む。つまり走っても歩いてもいいのでゴールするというイベントで、ランニングウエアに身を包んだ本格的なランナーから普段着のTシャツでやって来た人まで、さまざまな老若男女が集結する。若者や中高年だけでなく、高齢者や犬を連れた人や、中にはベビーカーに赤ちゃんを乗せた人もいる。(この記事はWWDビューティ2019年12月26日号からの抜粋です)
パークランは2004年に英国で生まれた活動で、英・非営利組織「パークラン・グローバル」が主催し、現在では世界21カ国に広がっている。各国の開催地ごとに現地ボランティが毎週の活動を運営実行する。ロシアでは14年ごろから活発化するが、この時期はちょうどモスクワ市内の公園や道路の整備が進んだこと、一般市民の間で欧米先進国の健康的な生活スタイルや運動を取り入れようとする意識が高まったこと、モスクワ市が市民の健康増進を掲げてスポーツへの取り組みを推進するようになったことが重なったときだ。ロシアの従来の生活様式では偏った食事や飲酒、運動不足により肥満や高血圧になりやすく、特に男性の平均寿命が67歳と短いことも問題視されている。これを背景にパークランは普及を続け、17年には国民の健康保護や健康的な生活スタイルを推奨する活動が評価されて露大統領基金の助成金を受けるようになった。18年にはモスクワ市長賞を受賞してさらに知名度が高まった。今ではロシア国内の37都市64カ所で開催されるまでに拡大した。
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