ここ数年クリエイティブとビジネスの両面で苦境に直面していた「ランバン(LANVIN)」が、中国の新オーナーであるフォースン・インターナショナル(Fosun International)の支援を受け、「ダイアローグ(Dialogues)」と題した大規模な展覧会を上海のフォースン財団(Fosun Foundation)で開催している。
「ダイアローグ」展では、ブランドが創業した1889年から現在までのアーカイブ計75点を展示。創業者ジャンヌ・ランバン(Jeanne Lanvin)からアルベール・エルバス(Alber Elbaz)や2019年1月に就任したブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)まで歴代のクリエイティブ・ディレクターの作品を紹介するのは、ブランドとして今回が初の試みとなる。ハイライトは創業者の娘マーガレット・ランバン(Marguerite Lanvin)のウエディングドレスと舞台俳優、映画俳優が着用した衣装で、その一部は初公開だ。
キュレーターのジュディス・クラーク(Judith Clark)は、デザイナーたちの衣装を年代順ではなくテーマに沿ってランダムに展示することで、何十年にもわたる「ランバン」のメゾンコードを引き出したいと考えた。「蝶ネクタイは『ランバン』にとって非常に重要なアイテム。そして服やアクセサリーに施されたアールデコの幾何学模様やリボンも同様に大切」とクラークは語る。
また、青色はブランドにとって特別な意味があるという。「ジャンヌは青が好きだったので、ルネサンスの絵画でよく見られる青の正確な顔料をコピーしたの。その青はランバンのパッケージとして使用され、長年にわたり進化してきた」と付け加えた。
同展では、あまり知られていないジャンヌ・ランバンの一面にも焦点を当てている。「彼女は演劇や映画の衣装を作ることに非常に積極的だった」とクラークは指摘する。「今では誰もがセレブに夢中だけれど、彼女は当時からセレブに注目していた。俳優や女優に服を提供するのが一般的な手段となった現代よりはるか昔から彼女は同じことを行っていたわ。マーケティングの力を理解していたのね」。展覧会は20年2月9日まで開催されている。
さらに、会場の真向かいにあるショッピング施設BFCには新しい旗艦店がオープン。1カ月前には香港のK11 ミュゼア モールにも新店舗をオープンしている。また、200の服と120のアクセサリーからなるカプセルコレクションもリリースした。その中にはジャンヌが手掛けた1920年秋冬、27年春夏、36年春夏コレクションから選んだ3つのアーカイブを復元したものも含まれる。アイテムには限定番号が記載されたカードと、パターンとオリジナルデザインの写真が添付されている。
シアレッリは、20年代のアジアをテーマにしたプリントデザインや「ランバン」のフレグランス“アルページュ”のゴールドのふた、30年代にランバン自身が描いた天使のスケッチなどを復活させ、数量限定で新作を製作した。このカプセルコレクションは、中国の6店舗と同国の人気SNSウィーチャット(微信、WeChat)、公式ウェブサイトで購入可能だ。