「ユニクロ(UNIQLO)」を運営するファーストリテイリング(以下、ファストリ)の2019年9~11月期決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比3.3%減の6234億円、営業利益が同12.4%減の916億円だった。暖冬による冬物不振、韓国、香港での営業赤字などが響いた。12月も引き続き冬物販売に苦戦したことに加え、足元の韓国、香港状況を踏まえて、20年8月期の業績予想を下方修正した。修正後の予想は、売上収益が2兆3400億円(修正前は2兆4000億円)、営業利益が2450億円(同2750億円)。
国内ユニクロ事業の売上収益は、前年同期比5.3%減の2330億円だった。「高気温で防寒衣料が苦戦したことに加え、品番数が増えて打ち出し商品が何かがお客さまに伝わりづらかった」(岡崎健・取締役グループ上席執行役員最高財務責任者)ことが要因と見る。ただし、米中貿易摩擦により商品仕入れの為替レートが円高となって粗利益率が改善したことなどにより、営業利益は同1.6%増の385億円と若干の増益となった。冬物苦戦は9~11月以降も継続しており、同時に発表された国内ユニクロ事業の12月の既存店とECの合計売上高は、前年同月比5.3%減だった。
海外ユニクロ事業は売上収益が同3.6%減の2807億円、営業利益は同28.0%減の378億円だった。日本製品の不買運動が広がった韓国と、政情不安が広がる香港の営業赤字が影響した。これら2国を除けば海外事業は増収増益を維持。中国本土も増収増益となったが、円高人民元安、暖冬による早期の在庫処分などで営業利益は計画に対し若干下振れした。
苦戦した「ユニクロ」に対し、「ジーユー(GU)」は引き続き絶好調だ。売上収益は同11.4%増の729億円、営業利益は同44.4%増の123億円となった。「『ジーユー』は“中間アウター”(シャツジャケット、ボアジャケットなど)を豊富に企画していたことで、暖冬の中でもお客さまをつかむことができた」という。好調品番の期中追加生産や素材の集約なども効いた。
ファストリは18年9~11月期も、同様に暖冬の影響で国内ユニクロ事業が大幅減益だった。昨年はその分を海外事業で取り返すことができたが、当期はそれがかなわなかった。「(冬物不振に対応する)在庫コントロールは昨年に比べるとうまくいった。ただし2年続けて暖冬であった以上、もはや暖冬を通常として商品構成を見直していかないと今後も同じことを繰り返す。気温の変化に柔軟に対応できる仕組み作りを進めていく」。