ファッション

「ポール・スミス」が初のクリエイティブ・ディレクターを任命した理由

 「ポール・スミス」が、クリエイティブ・ディレクターにデザインチームの一員、サイモン・ホームズを任命した。ホームズ新クリエイティブ・ディレクターは、メンズ・ウィメンズのプレタポルテをはじめ、シューズやアクセサリーなどのクリエイションを統括するとともに、ランウエイショーやショールーム、店舗デザイン、ウェブサイト、広告ビジュアルなど、ブランドイメージに関わる全ての部門を監修する。彼は2004年にポール・スミス社に入社しており、直近ではメンズのデザインチームを率いていた。

 クリエイティブ・ディレクターの就任は、デザインスタジオを刷新する一環で創業デザイナーのポール・スミス本人が決定した。今年69歳になるポールは、「私が引退するわけではない。この会社に新しいエネルギーを吹き込むためにサイモンを任命したのだ。彼とは良い信頼関係を築いている。日頃から素晴らしい活力を持ってブランドを懸命に支えてくれている彼に感謝したい」と話した。ポールは同社に残り、引き続き通常業務を行うとともにブランドに関わる新プロジェクトなどに力を注ぐという。

 これまでポールは、同社の多岐にわたる業務に携わっていた。プレタポルテはもちろん、アイウエアやウオッチ、商品のフィッティング、コレクションに用いる生地やプリント選びなど、各部門の細部にまでチェックをしている。また、自社の広告キャンペーンで自らフォトグラファーを務めるだけでなく、雑誌や他社ブランドのフォトグラファーなど、さまざまなプロジェクトも手掛けてきた。「私のスケジュールを見れば分かるだろうが、日々とても忙しく過ごしている。サイモンがクリエイティブ・ディレクターになったことで、私は他の楽しいプロジェクトにも関われる」とポール。

 ポールは現在、若手の育成に特に力を入れているという。デザインチームに若手を起用し、積極的に昇進のチャンスを提供している。最近ではメンズ・ウィメンズのデザインスタジオを統合し、両チームが同じ空間で協力しながらそれぞれのコレクションを制作する体制を整えた。

 ポール・スミス社の株式のうち60%はポール本人が持ち、残り40%は同ブランドのライセンシーである伊藤忠商事が保有する。

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