2019年12月2日号で主に10~20代前半の“SNS世代”のファッションに対する意識を調査した特集を担当した。いつの時代も若い世代と中堅・ベテランの意識は異なるもの。互いのファッション観を表層的にしか理解しようとしていないことへの危機感から、多方面への取材を行った。まずこの特集で伝えたかったのは、デジタルネイティブを中心にファッションが多様化する中で、分散する興味関心をいかにつかみ、ビジネスへと発展させるかのヒントを探ることだった。好きなデザイナーやブランドのアンケート調査も非常に興味深かったものの、大方は知名度の高い順だった。好きなデザイナーは山本耀司や川久保玲、アレキサンダー・マックイーンらモード界の偉人、好きなブランドは「ザラ」や「ジーユー」などSPA系が上位に食い込むというギャップもSNSなどの一部で話題になったが、多角化するファッションに伴う消費動向の変化やSPAの品質向上によるもので、特に驚くことはないと思っている。(この記事はWWDジャパン2020年1月13日号からの抜粋です)
それよりも、デジタルネイティブに絶大な影響を与えるファッションYouTuberの取材で最近のファッション業界についての辛らつなコメントが印象的だった。「売れていないのにカッコつけている。そんな姿勢が変わらないからファッション業界は衰退していくんだと思う」。全くその通りである。「若年層顧客の獲得」を掲げながら、方向性が不明確な新業態やリブランディングはまだまだ溢れている。若い世代は、彼らをターゲットにした的外れなビジネスには敏感で、反応も冷ややかだ。“SNS世代”から絶大な共感を集める彼らからそのようなメッセージが今後も発信され続けると、互いを理解しようとする意識がますます遠のいていくのではないだろうか。ただし、同氏が語っていたのはファッション業界の一部の話であり、変わろうと努力している企業やブランドは数多くある。
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