「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」を手掛けるファーストリテイリングはこのたび、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が推進する「ファッション業界気候行動憲章」に署名した。「当社はサステナビリティを事業の根幹と位置付け、ビジネスを成長させながら同時に環境負荷を減らすための取り組みを進めている。中でも深刻化する気候変動への対応は、全ての企業にとって最大にして喫緊の課題だ」と、新田幸弘グループ執行役員サステナビリティ担当はコメントしている。
同社は先日、20年8月期の業績予想を下方修正した。これには異常気象(暖冬や国内では台風直撃)による19-20年秋冬商戦の苦戦が大きく影響しており、確かに同社にとって気候変動への対応は「喫緊の課題」だ。気候変動への具体的取り組みとして、同社は20年春夏から、ペットボトルをリサイクルしたポリエステル繊維を使用。高機能速乾ウエア“ドライ EX”シリーズに取り入れ、ポロシャツとして販売する。また、20-21年秋冬には自社ダウン製品から回収したリサイクルダウンを一部に使用したダウン商品を販売する。
生産工程の環境負荷削減としては、主要工場を対象に20年までにエネルギー使用量を16年実績の9割にまで削減することを初期目標として掲げている。さらに長期の目標も策定中という。国内「ユニクロ」店舗では、LED照明の導入や店舗設計の見直しで、20年までに温室効果ガス排出量を13年実績の9割にまで削減(単位面積当たり)することを掲げている。
「ファッション業界気候行動憲章」は、2015年に採択された気候変動抑制に関する国際的な協定、パリ協定が掲げる「産業革命前からの地球の平均気温上昇を2度未満に抑える」という目標を支持するもの。30年までにサプライチェーンも含めた温室効果ガス排出量の合計30%を削減することなどを定めている。