さぁ、今日はミラノメンズ4日目の日記です。それでは早速、行ってみよう!
10:25 フェンディ
ガンダムっぽい。これが、2020-21年秋冬「フェンディ(FENDI)」メンズの、特に序盤の率直な感想でした。多用した漆黒のレザーが光を跳ね返し未来的なムードを醸し出すコレクションは、ウールとベルベット、フランネル、それにレザーを複雑に切り返し。そのパターンが未来の戦闘服のように見えるんです。長靴のような超厚底のレザーブーツも、スタイルのユニホーム感を高めます。なんだか宇宙戦艦の乗組員みたいなのです。あとで振り返れば、この未来的なムードこそ「アンリアレイジ(ANREALAGE)」を迎えるためにシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)が構築した世界観なのかしら?
でもシルヴィアは、茶目っ気たっぷりのクリエイター。いつでもクスッと笑えるアイデアを忍ばせるのを忘れません。今シーズンは漆黒のユニホーム的フォーマルとコントラストを成す、イエローのアクセサリーがぜ~んぶユニーク。手仕事の温もりに溢れるローゲージのざっくりニットで作ったマフラーやバッグ、それにショッピングバッグを模したレザーアクセサリーが、見る者を笑顔にさせてくれます。ショルダーバッグは、買った長財布や革小物を入れてくれるボックスにストラップを取り付けたみたい。なんだか「未来の乗組員、休日『フェンディ』にショッピングへ!」みたいなムードなんです。
そしてラスト4ルックは、この記事にある通り「アンリアレイジ」ならではの技術を使ったアウターウエア。テクノロジーとクラフツマンシップ、森永さんのマジメなモノ作りとシルヴィアのユーモア。今シーズンも「フェンディ」メンズは、クリエイターとのコラボレーションで多面的なコレクションにたどり着いたのでした。
11:35 マリアーノ
さぁ、僕の“天敵”ブランドが現れました。強敵です。「マリアーノ(MAGLIANO)」です。
前回は招待状がホテルに届かず、おかげで大混雑の入り口で30分近く待たされるという苦行を強いられ、しかも英語が喋れないスタッフが友達ばかりを会場に次々入れるから「チッ」って思うコト10回以上(笑)。イタリアンストリート束ねるスラムジャム系のブランドは、オペレーションが未熟なコトも少なくありませんが「『マリアーノ』さん、アナタ、ちょっとヒドいんじゃございませんか!?(デヴィ夫人風にどうぞ)」と思ってしまったブランドなのです。
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あれから半年が経ちました。ランウエイも、気づけば3回目です。「マリアーノ」さん、少しは成長したでしょうか?そう思いながら「フェンディ」から歩いて15分の会場に到着すると、スタート予定時刻なのに開場さえしていない(泣)。しかも入り口はめちゃくちゃ狭い(号泣)。そして、友達ばっかり優先入場させるアイツがいる(チッ)。グロテスクな招待状を持つ手が、早くも震え始めます(あ~、イライラ)。予断ですがこのインビテーション、なんてグロいんでしょう!
とはいえ、今回は招待状を持っていたので、入場は比較的スムーズ。でも、そこからも混乱続きです。僕の席は、まさかのトリプルブッキング(笑)。想定通りのオペレーションの未熟さで、新興ブランドのクセに今期一番の大遅刻であります(苦笑)。
しかも薄暗いビリヤードバーは、開演直前にスタッフが1列ずつライトを点灯する演出なのですが、コレまた作業が遅いのなんの。リハーサルやってないのかしら……⁉︎今回も「『マリアーノ』さん、もうチョット頑張りなさいよ」と思ってばかりです。
とはいえ、肝心のコレクションは、良くなっている!!
アイコニックなジャケットは、「マリアーノ」らしい上半身にボリュームを置くシルエットはそのままに、かなりクリーンに進化。完成度も上がりました。次回は、オペレーションも進化させてくださいね。
13:10 ディーゼル
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お次は「ディーゼル(DIESEL)」の記者会見。サステナブルを意識したコレクションの発表(どうやらミラノのウィメンズ・コレクション期間中にお披露目のようです)、カーボンオフセット(排出した二酸化炭素を相殺するソーシャルグッドな活動)への取り組みなどを決意表明です。
14:05 ステラ マッカートニー
「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、バイヤーとプレスだけにコレクションを先行公開。ゆえに多くは語れませんが、新しいロゴデザインが誕生です。新ロゴは、今流行りのサンセリフ体。既存のロゴも使い続けるそうですが、Tシャツやスエットには、新ロゴがプリントされていました。
14:45 トム フォード
控えめ・コンサバな提案が目立つ2020-21年秋冬シーズンでも、「トム フォード(TOM FORD)」は大胆不敵。相変わらず唯我独尊。トム様ワールド全開です。
コレクションは、1プリーツ(ちなみにトム様、プリーツは必ず体の内側にヒダを作ります。外側はありえない。美しくないんだそうです)のフレアパンツを合わせるスーツ“アティカス”にフォーカス。ヘンリーネックのインナーを合わせるカジュアルな提案ですが、シャツとシルクタイ、アウターを筆頭にさまざまなネオン、パステル、ビビッドカラーが勢ぞろいします。
コッパー(銅)色のクロコダイルの型押しブルゾンにシルクサテンのフレアパンツ、そしてレトロスニーカーの1カラースタイルなんて、シビれます。ジョギングパンツは、ウエストがゴムなのにカッコ良すぎです。サテンのボンバーズ、MA-1、ムートン、それにカラーレンズのアビエイターサングラスは、いずれも文句なしにクール!!色を見ると、やっぱり人間元気になるものですね(笑)。
15:45 プラダ
昨日の「プラダ(PRADA)」の展示会へ。キーワードは「シュール・クラシック」。“反英雄的な男らしさ”を模索したコレクションと伺い、「さすがはミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)!」とほくそ笑んでしまいました。分かるようで分からない、でも口に出して言いたいくらいカッコいい。今シーズンもそんなキーワードをひねり出してきます。ちなみに20年春夏のウィメンズ、キーアイテムを絞り込んだコンパクトなコレクションについては「複雑さに対する解毒」と表現しています。シビれる~!トム・フォードが本能レベルで「カッコいい!!」と思わせるなら、ミウッチャは知的レベルで「カッコいい!!」と思わせてくれる。どちらも両雄と言えましょう。
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モデルが凛と見えたのは、タイトなストレッチニットやスキニーなパンツのおかげ。これだけだと「英雄的男らしさ」なのでしょうが、そこに手編みのニット、薄くパディングを貼り合わせたコート、スポーティーなライン“リネアロッサ”のナイロンアノラックなどを合わせると、確かに英雄感は控えめになって、現実味がアップ。使った原材料のうち90%がサステナブルというコレクションには、再生ナイロン「エコニーレ」のウエアが登場しました。
昨年発売した「エコニーレ」のバックパックは、早々に完売したそう。お待ちかねの第2弾商品です。
16:15 C.P. カンパニー
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お次はミラノメンズのトップバッターを務めた「C.P. カンパニー(C.P. COMPANY)」の展示会へ。プレゼンでは触れなかった商品が、ここではいっぱい触れます(笑)。過酷な環境にも耐えられるスペックウエアと、ガーメントダイが信条のブランド。キレイなグラデーションを描くように洋服を並べると、壮観です!
17:20 ジョルジオ アルマーニ
さぁ、本日もいよいよラスト目前。夕方は「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」です。
コレクションは、なんとビックリなスキーにも使えるハイスペックウエアからスタート!この手のスペックウエアは、若々しい「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」の専売特許かと思っていましたが、今ドキの紳士はアクティブですものね。スキーやスノボくらいするでしょう。
ところがハイスペックなスポーティーラインのパートが終わっても、今シーズンの「ジョルジオ アルマーニ」は若々しい。ラグランコートは今時のオーバーサイズ、ジャケットに合わせるのはニットポロ、そしてサイドゴアブーツにはジョギングパンツ。ミリタリーコートやブルゾンも多数です。大人の男性も着実に変化している。アルマーニさんはそれを見逃さず、トップラインを思い切って、かなり若々しい方向に振ってみた。そんな意欲が伺えました。
とはいえカーキのミリタリーコートは、実はベルベット製とゴージャス&エレガント。化繊のブルゾンも、アストラカンという毛皮の一種の表面のように生地をつまんで複雑な柄を手に入れます。そこには常に最高の素材と、根気強いクリエイションが潜んでいるのです。
ちなみに「ジョルジオ アルマーニ」には、素材の調達と改良に情熱を燃やすベルベット担当がいるらしいですよ(笑)。毎回展示会でナデナデすると、本当にその心地よさと柔らかさには驚かされます。今期は、それがミリタリーコートですからね。世界で一番気持ち良い、オトナのミリタリーコートに間違いありません!!
19:25 ア コールド ウォール
今日の最後は、「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」。インダストリアルなムードと、シンプルなアイテムほどこだわる独特のパターンで定評があります。が、今回はイマイチ冴えません。大人の街、ミラノに移ったせいでしょうか?なんだか大人しく見えてしまい、それぞれのアイテムから「ア コールド ウォール」である必然性が感じられません。残念。次回に期待です。
ということで、本日はこれにて。明日は最終日。残るショーは3つです。今日は会食ナシ!!パッキングして、早めに寝ます(Zzz……)。