ファッション

「ケンゾー」がロゴを更新 新ディレクターが語る高田賢三との共通点

 「ケンゾー(KENZO)」のクリエイティブ・ディレクターに、「ラコステ(LACOSTE)」などを手掛けてきたフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)が就任した。前任として8年間ブランドをけん引したキャロル・リム(Carol Lim)とウンベルト・レオン(Humberto Leon)に代わり、ブランドに新しい風を吹き込む。新生「ケンゾー」はウィメンズの20-21年秋冬パリ・ファッション・ウイークで正式にデビューするが、それに先駆けて“更新”したロゴを発表。新ディレクターのバティスタに、ブランドをどのように導いていくかや、ロゴに込めた思いを聞いた。

WWD:「ケンゾー」にどんなイメージを抱いているか。

フェリペ・オリヴェイラ・バティスタ=クリエイティブ・ディレクター(以下、バティスタ):とてもフレッシュで、楽しさにあふれているブランドだ。DNAとして特に強く感じるのは、自然の要素であったり、ポジティブで自由な精神性。今後どんなクリエイティブ・ディレクションがブランドに加わるとしても、このDNAはブレない。アーカイブの研究は就任後すぐに始めた。それを基に、アーカイブのプリント柄などはもちろん取り入れていくが、自分に課された仕事はブランドの歴史に敬意を払いつつ、新しいブランドイメージを作り出すことだ。

WWD:「ケンゾー」は高田賢三氏が立ち上げたブランドとして、日本を含むアジア圏では特に親しまれているブランドだ。

バティスタ:日本的な感覚を持ったブランドであることは間違いない。それと同時に、高田氏は世界に対して非常にオープンマインドで、世界各国からインスピレーションを得ていた。それは僕自身にも通じる。僕はポルトガル出身で、ファッションを勉強したのはロンドン。ミラノでも働いたし、パリにももう10年住んでいる。アメリカや日本でもこれまでコラボレーションを行ってきた。高田氏と僕の共通点は、あらゆる国、あらゆる人の価値観認めていくようなあり方だ。日本の文化はもともと好きで、昨年12月には2週間日本に滞在していた。改めてフレッシュな視点で日本を感じることができ、満足している。

WWD:自身のブランドや「ラコステ」での経験と、「ケンゾー」はどう違うか。

バティスタ:ブランドの性質がそもそも異なる。僕自身のブランドはよりハイエンドなターゲットに向けたものだ。「ラコステ」は民主的で幅広い層に向けたスポーツウエア。それに対し、「ケンゾー」はフレッシュなマインドのファッションブランドだ。定義が異なるので、それぞれのブランドのアプローチは当然異なってくる。「ケンゾー」では着やすさを保ちつつ、全身をスタイリングするためには何が必要か、というワードローブの意識をもっと盛り込んでいきたい。

WWD:ここ数年の「ケンゾー」は、スポーツやストリートのムードが強かった。しかしこの1年ほどで、世の中の気分はストリートからエレガンスへと回帰している。

バティスタ:スポーティーさや着やすさはこれからもブランドに残っていくだろう。しかし、繰り返しになるが今後はもっとワードローブの感覚を強めていく。そして素材や色使いの部分では、DNAである自然の要素にもっと焦点を当てていきたい。素材の話と関連して、20年中に発表する2つのカプセルコレクションではサステナブルファブリックを使用しているし、リサイクルカシミヤなども増やしていく。サステナビリティへの意識を発信していくこともブランドの使命だと考えている。

WWD:ロゴを更新したが、これに込めた思いは何か。

バティスタ:インターネットの発達などにより、世界はどんどん近くなっている。そして、「ケンゾー」は常に多様性やオープンマインドな姿勢が根底にあるブランドだ。そういった考えから、更新したロゴからはPARISの文字を外した。「ケンゾー」はあらゆる国や地域の、あらゆる人のためのブランドだということを表現している。政治的なスローガンを発信したければそれもできるが、ファッションブランドとして、それぞれの美しさや違いを認め合っていく姿勢を発信することこそが重要だと思っている。見返りを求めるのではなく、お互いを尊重すること。グローバルブランドである以上、多様性を認めるメッセージを伝えていくことが非常に大切だと考えている。

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