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“生理はうつる?”都市伝説のウソ・ホント フェムテックの先駆け「ルナルナ」が新成人に向けたイベント開催

 “フェムテック”という言葉をご存知だろうか?“フェムテック”とは、フィメール・テクノロジーの略で「女性が抱える健康問題をテクノロジー(技術)で解決するサービス」のこと。昨今、欧米から新しい技術や発想で開発された生理用品などが登場し、日本でも広がりを見せている。

 日本でも2000年にエムティーアイが生理日管理の「ルナルナ」のサービスを開始。インストール数は1400万(19年7月時点)を超えており、多くの女性たちに利用されている。

 その「ルナルナ」が1月11日に、新成人に向けたトークイベント「祝!新成人 カラダとココロのアップデートミーティング2020」を大丸梅田店5階の新フロア「ミチカケ(MICHIKAKE)」で開催した。「ルナルナ」が同アプリ内で約1600人のユーザーから生理にまつわる疑問や噂、都市伝説を集めて、日根麻綾「ルナルナ」事業部事業部長を司会進行に、東京大学医学部附属病院産婦人科の甲賀かをり准教授がその真偽について回答した。

その一部内容を紹介する。

Q1.生理はうつる?

日根麻綾「ルナルナ」事業部事業部長(以下、日根):生理にまつわる噂では、本当かどうか分からない不思議な話がありますよね。一番多かったのは「生理は友達同士でうつる」や「女性が集団で生活をしていると生理のタイミングが一緒になる」など。でも「ルナルナ」チームも不思議と生理周期が合っていて「今日始まった」と話していると、「私も」なんてことがよくあります。先生、これはどうなんでしょうか?

甲賀かをり・東京大学医学部附属病院産婦人科 准教授(以下、甲賀):それは都市伝説で、医学的根拠はありませんが、ネズミも一緒に飼っていると一緒の生理周期になることもあり、もしかしたらそういう種類の動物もいるかもしれません。

日根:今のところエビデンス(科学的根拠)はないけれど、そういうことがあるかもしれないんですね。

Q2.「タカアンドトシ」のトシの顔を見ると生理痛が和らぐ?

日根:初めて知ったんですけど、お笑い芸人「タカアンドトシ」のトシさんの顔を見ると生理痛が和らぐという都市伝説もあるようです。ツイッターで検索したら多くヒットしまして、「今日生理辛いな」という友達にトシさんの顔写真を送るという人もいて、有名な話のようです(笑)。

甲賀:全く医学的な根拠はないですね(笑)。

Q3. 生理中はセックスをしても妊娠しない?

日根:この質問も多かったのですが、「生理中はセックスをしても妊娠しない」って聞いたことありませんか。これはどうなんでしょうか?

甲賀:女性には「この時期だったら妊娠しない」というような時期は一切ありません。生理中は妊娠しにくい時期ではありますが、そもそも生理だと思ってもそれが排卵期の出血だったりすることもあるので、そこで性交渉をすると妊娠することもあります。「生理中は妊娠しない」というのは誤りです。

Q4. 女性が一生涯に訪れる生理の回数は?

日根:現代女性が一生涯に起こる生理の回数はどのくらいなのでしょうか?

甲賀:12〜52歳くらいの約40年間、年に12〜13回ありますので単純計算で約450回ほどです。しかし妊娠中や授乳中には生理は止まるので今は平均400回くらいだといわれています。

日根:皆さんのおばあちゃんが若かった頃は、5〜10人と子どもを産んでいる女性も多かったですよね。

甲賀:そうですね。妊娠中と授乳時に生理は来ないので、その時代の女性たちは生理の回数は少なかったんです。今は子どもを持たない女性も多いので、初潮から閉経まで絶え間なく生理が来ていていますね。

日根:昔の女性の生理は50回という話も聞いたことあります。そうしたら現代女性は9倍生理が来ていることになり、プラス400回も来ているんですね。

甲賀:生理のときは生理痛に、生理前にはイライラが起こる月経前症候群(PMS)に悩んでいる人も多いですが、どちらも女性ホルモンが卵巣から分泌されることによって起こります。本来は女性が妊娠するために必要なホルモンが出て体の変化が起こるのですが、現代女性にとっては困ることも多いですよね。

日根:人によっては生理中は生理痛で苦しんで、生理前はPMSで2週間苦しんでいる。月に1週間しか体調がいい時期がないですよね。

甲賀:私の患者さんでも月の半分以上、体調が悪いという方もいます。妊娠しないでホルモンが出続けることが現代女性を困らせています。

Q5. 生理痛とPMSの両方にどのようなリスクがある?

日根:女性たちを悩ませる生理痛とPMSですが、どのようなリスクがあるのでしょうか?

甲賀:「生理痛は病気じゃない、痛くて当たり前」だと思って、ずっと痛み止めを飲んでがまんしている人たくさんいると思いますが、子宮内膜症や子宮筋腫など手術をしないと治らない病気にかかって妊娠できない体になっている人もいます。そういう病気があるから生理痛がある人もいます。また初潮から生理痛が辛いという人はそういう病気になりやすいというデータもあります。なので、「これは病気じゃない」「普通のこと」と勝手に判断しないでほしい。そういう病気にかかっているかもしれない、将来かかるかもしれないという意識を必ず持ってほしいと思います。

日根:私は今30代ですが、周りにも子宮筋腫の人が何人もいます。私も一度手術を受けたことがあって、めちゃくちゃ痛かった記憶があります。私は高校生のときに痛みで「学校休みたい」というと許されなくて、「鎮痛剤も飲むな」と言われる人も多かった。

Q6.女性の3〜4人に1人がかかっている月経困難症って何?

日根:日本人女性の800万人(3〜4人に1人)が月経困難症だと聞きます。

甲賀:月経困難症は病気の有無にかかわらず、学校や会社を休む必要があったり、スポーツを控えているような生理で生活に支障が出ている人たちのことです。病気として名前がついていて、薬を出しています。

日根:え、それならば私も月経困難症です。生理痛で困っています。

甲賀:そうなんですよ。

Q7.生理不順の問題は?

日根:生理不順も聞きます。若い人で「年に2回しか生理がこない」という話も聞いたことがありますね。生理がことなくて「私はラッキー」と思っているような人もいるようですが。

甲賀:それは大間違いです。「ナプキンも買わなくていいから楽」と思っていたとしても、将来パートナーができて、いざ家族を持ちたいと思ったときに生理不順の人は妊娠しにくい。また、ホルモンが足りていないことでお肌の調子が悪くなったり、血液も健やかじゃなくなったりということがあります。

日根:生理不順の人はどんな特徴がありますか?

甲賀:やせ過ぎている人、逆に太り過ぎている人。偏った食生活の人、運動をし過ぎている人、寝不足の人など。

日根:「ダイエットに成功して生理が止まった」という話も聞きますよね。これも治療の対象になるんですか?

甲賀:そうです。

Q7.ピルって何?

日根:人生で450回もお付き合いする生理と生理痛はどう向き合ったらいいんでしょうか?

甲賀: 痛み止めを早めに飲む、食事や衣類、布団を温かくして冷えないようにすることも大事ですが、どうにもならない月経困難症の人はピルをお出ししてホルモンを整えていただくことができます。

日根:ピルというと避妊手段の一つとして認識している人も多いと思いますが、ピルとは?

甲賀:避妊用として開発されたのですが、今は月経困難症の治療として多く使われています。服用することによって痛みの原因であるプロスタグランジンも減るので、生理痛が軽減されます。

日根:「生理痛が辛い」と思ったら気軽に使えるものですか?

甲賀:生理の量が減りますし、飲み方によっては生理の回数自体も減ります。PMSの原因になるホルモンが一定になるので、コンディションがよくなります。

日根:副作用のイメージもあり、体重が増える、ニキビ出るという噂を聞いたことがあります。

甲賀:ピルにも種類があります。20代の皆さんのお母さん、おばあちゃん世代にあったものは高用量ピルが多く出回っていて、1錠のホルモンが多かった。でも今は低用量ピルや超低用量ピルもあったりします。昔の10分の1のホルモン量で排卵がちゃんと止まって、生理痛が軽くなるものもあり、副作用も減ってきています。

日根:値段は?

甲賀:避妊用と月経困難症用のピルがあって、避妊用は保険が利きませんが、月経困難症用のピルは保険が利くのでジェネリック(後発医薬品)で1000〜2000円ほどです。1000円を切るものもあります。ドラッグストアでは売っていませんので、産婦人科にかかって処方をしてもらう必要があります。

日根:毎日飲むのが大変そうですが。

甲賀:私の患者さんでも1カ月目でくじけちゃう人もいます。続けていくうちに劇的に生理痛がが改善されていくので、頑張って飲み続けてほしいですね。

日根:昨年9月には「ルナルナ」でもピルモードを出しました。甲賀先生に監修いただいて、あらゆる製薬メーカーのピルに対応しています。薬をアプリに登録して服用を記録でき、産婦人科の先生にも見せられるようになっています。

甲賀:女性は自分の体のことを記録することが大事です。患者さんでも「いつ体調が悪くなりましたか?」「前の生理はいつでしたか?」と聞いても「忘れちゃいました」という人も多くて悲しくなります。自分の生理の周期ぐらい覚えて、薬を飲んだ日も記録してほしいですね。

日根:大人の女性の嗜みですね。“見える化する”といいますが、自分を俯瞰してみると自分のことがよくわかるようになりますし、自分の体を守ることになります。

甲賀:せっかく女性として生まれてきて、神秘的なことが体に備わっていること、つまり将来自分の体で妊娠して子育てができるということは素晴らしくて尊いこと。でもそれによって、今赤ちゃんが必要じゃないときに生理に振り回されてしまうこともあるけれど、いつかその神秘的な機能を発揮させるために常日頃メンテナンスすることは大切です。

日根:メンテナンスするには正しい知識を仕入れてもらう必要がありますね。でも全部覚えることは大変です。

甲賀:正しい知識は自分を助けます。今持つだけでなく、常にアップデートをしていって、問題があったときに正しい情報をもとにどうしたらいいのか判断してほしいですね。

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