公式服装は、全選手の体形や要望に応えられるようにオーダーで製作する。赤と白が特徴の開会式用は、“開催国、日本代表選手団の爽やかな輝き”がテーマ。白のジャケットに日本古来の伝統柄である「工字繋ぎ」を陰影でプリントしている。素材はストレッチ性と通気性を併せ持ち、防シワ加工を施す。赤のボトムスは肌ざわりがよく、夏でも快適に着用できるように配慮。シャツは北陸産地ならではのハイゲージトリコット素材を使用する。また紺と白でフォーマルにデザインした式典用のテーマは、“力強く爽やかなフォーマリティー”。麻100%のニット地編みで、可動性と通気性を高めた。クレリックシャツに、縁起がいいとされる「七宝柄」「うろこ柄」「縞柄」などの伝統柄を使ったネクタイとスカーフを合わせる。開会式用、式典用ともにボトムスは選択性で、男性用はノータック、ワンタック、女性用はパンツ、キュロットを用意した。
会見に登壇した東京オリ・パラ競技大会組織委員会の森喜朗会長は、「AOKIとわれわれ組織委員会は、18年10月に契約してグッズなどを製作してもらっている。13年にブエノスアイレスで開かれたIOC総会で、誘致に成功した際の制服も実はAOKIに製作してもらっており、非常に縁起がいい。オリンピック・パラリンピックで同じデザインを採用したことで、社会全体のテーマである“共生”を具現化できる。7月24日(開会式)に心躍るような体験を期待している」と述べた。AOKIの青木擴憲会長は「歴史に残る公式服装の作製に全力かつ真摯に真剣に取り組みたい。過去大会の約2倍の選手団のスーツを製作することになるが、万全の態勢で企画、生産、納品、全てに対して全力を尽くす。われわれはグループ全体で全国に約1300店舗を展開している。幅広いサイズに対応するため、全国のパーソナルオーダーを行う約5000人のスタイリストの中から優秀な300人を抜てきし、採寸を行う。日本代表選手団の大活躍を願っている」とエールを送った。
会見には、開会式用の公式服装を着用した競泳の瀬戸大也選手やウエイトリフティングの三宅宏美選手、馬術の黒木茜選手、パラ・アーチェリーの神山友裕選手、パラ・陸上競技の前川楓選手、パラ・トライアスロンの土田和歌子選手らオリンピアン・パラリンピアンが登壇した。
それぞれ、「着心地がいいし、着ていて疲れない」(瀬戸)、「登壇まで座って待っていたがシワが気にならない」(黒木)、「やわらかい色味がとても素敵」(三宅)、「障がいに合わせて上半身、下半身で採寸してもらった」(土田)、「同一デザインでみんながひとつになった。キュロットから義足がちらっと見えるのも気に入っている」(前川)、「車いすだと袖口がタイヤにこすれて黒くなるので、あえて短くしてもらった。そういった要望にも応えてもらえる」(上山)などと印象を語った。